第26話
時は流れてお昼休み。
午前中の授業はテストが近い事もありほとんどが自習形式だった。
4限で使った教科書などを片付けていると三咲が小さな袋を片手にやってきた。
「はる、お昼どこで食べる?」
「今日は教室で食べよ〜」
「はいよ。そういやはる、朝から思ってたんだけどなんから機嫌いいね」
「えっ?そうかな…えへへ」
「休み時間にスマホ見ながらニヤニヤしてたし。 」
「え"っ"!?」
休み時間になる度に琴葉から送られてくるL○NEのメッセージを確認していた遥。
嬉しさのあまり頬が緩んでいたのだ。
「ずっとスマホ見てたけど誰かとやり取りでもしてた?」
「えっ?ずっとなんて見てないよ?」
現在進行形でスマホを見ながらそんなことを言う遥に呆れて苦笑いする三咲。
「あっ!んふふ」
「どうしたの?めちゃくちゃ嬉しそうだけど」
「ん?ないしょー」
「いいから教えなさい」
「あふん!」
三咲にデコピンをされた遥は額を押さえつつ、頬を緩ませ答えた。
「もうすぐ分かるよ!」
遥がそう答えたのと時を同じくして、教室前の廊下が少し騒がしくなった。
「廊下の方なんかあったのかな?」
「ん?来たかな?」
「来たって?」
「遥先輩!お待たせしました!」
「琴葉ちゃん!ここ座って!」
廊下の騒がしさの原因は、2年生の教室しかない階に1年生、それも聖女様と呼ばれる琴葉が来たからだった。
そして、特に臆することなく2年生の教室に入ってきた琴葉。
そんな琴葉に自分の隣の席の椅子を引き寄せ座らせる遥。
目の前の光景に驚き固まる三咲と教室に残っていたクラスメイト。
「はい!という事でみーちゃん!琴葉ちゃんです!」
「はぁ…よ、よろしく」
「そして琴葉ちゃん!みーちゃんです!」
「よろしくお願いします。みーちゃん先輩」
「ん!みーちゃんずるい!」
「えっ!?な、なにが!?」
「私は名前なのにみーちゃんあだ名で呼ばれてる!」
「それはお前の紹介の仕方が悪いからだろ!」
そう言って三咲は遥の頭ににチョップをする。
「私は
「はい、よろしくお願いします狭山先輩。ところで遥先輩、狭山先輩とは随分仲がよろしいんですね?」
若干ハイライトの消えた瞳で問う琴葉。
「みーちゃんはね、幼馴染なの!」
琴葉の様子に気付いていないのか遥は嬉しそうに答えた。
「幼馴染…なるほど。狭山先輩、私もあらためて自己紹介させていただきます。遥先輩のこ・い・び・との、柊 琴葉です」
琴葉は「恋人」であることを強調するように一言ずつ区切って言った。
「えっ?恋人?ちょ、ちょっとはる!どういう事!」
「え?サプラーイズ!」
「ドッキリとかじゃないのよね?いつからなの?」
「ドッキリじゃないよ。一応昨日からだね。ね?琴葉ちゃん!」
「はい!そうですね遥先輩!」
「マジか…」
あまりの衝撃に開いた口が塞がらない三咲。
そんな三咲を置いてけぼりにして、二人は自然にイチャつきながらご飯を食べ始める。
「みーちゃん大丈夫?ご飯食べないの?お昼休み終わっちゃうよ?」
「誰のせいだと思ってんのよ!!!」
そんな三咲の叫びに、たまたま居合わせたクラスメイトは大きく首を縦に振っていた。
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