第9話
(め、めっちゃ気持ちよさそうに寝てる…
よくこの状況で寝れるな、琴葉ちゃん…)
あれから3時間程。
琴葉に抱き着かれた遥は未だ寝れずにいた。
(流石に眠気の限界が来れば寝れると思うけど…)
「んぅ…お母…さん…」
「ッ!!」
(ね、寝言か…。びっくりした…。にしても、お母さん…か。)
遥は琴葉を起こしてしまったかと思い驚いたが、寝言だったことへ安堵しつつその内容になんとも言えない気持ちとなっていた。
今にも泣いてしまいそうな琴葉を見て、遥は無意識に自分手を琴葉の頭へ当てていた。
そして、もう大丈夫だよと言い聞かせる様に琴葉の頭を撫でた。
すると寝ているはずの琴葉は徐々に笑顔になっていった。
(あれ!?私なにやってんの!?
あ、でも…ね、寝てるよね?)
笑顔になった事を確認した遥は撫でるのをやめようとした。
しかし寝ているはずの琴葉が
「んぅ…もっと…」
とおねだりするのである。
おねだりに抗えない遥は撫でるのを再開し、少ししたら撫でるのをやめ、またおねだりされ…と繰り返すのであった。
(可愛すぎるだろコンチクショー!)
そう思いながらも撫で続け、気付けば外が明るくなってきていた。
(や、やばい…流石に休みとはいえ少しは寝ないと…でも、撫でるのやめると琴葉ちゃんが…。)
自身の睡眠と琴葉の表情を天秤にかけ、自身の睡眠を投げ捨てた遥だった。
「ん…んぅ…あれ…朝?ん?」
「お、おはよう…琴葉ちゃん」
「おはようございます…先輩。
ところで先輩、この手は?」
「い、いやね?夜中に目が覚めたらね!琴葉ちゃんが凄く寂しそうにしてるように見えてね!で、試しに撫でてみたの!へ、変な事しようとした訳じゃないよ!?
そしたら琴葉ちゃんが笑顔になってくれてね!じゃあもう大丈夫だ!と思って撫でるのやめたら、琴葉ちゃんがもっとって言うから、また撫で上げてって感じでね!?」
「ッ///ご、ごめんなさい!先輩!」
「だ、大丈夫だよ!」
遥はテンパりつつも何とか経緯を琴葉へ伝えた。
「それじゃあ、そろそろ起きよっか!」
「先輩…あの…一つお願いをしてもいいですか?」
「う、うん。な、何かな?」
「……頭…撫でて貰っても良いですか…?」
「うーん!?それはちょっとどうかなー!?あははー!」
「……ダメ…ですか?」
「グフッ!!(ダメだ…お願いモードの琴葉ちゃんが強すぎる!)」
「先輩…」
「だ、ダメじゃない…よ。ほら」
そして頭を撫でてあげると、とても嬉しそうな表情になる琴葉。
「先輩…ギュッも…してください…」
「う、うん…。はい、ギューっ!」
「んっ///」
「ちょっ!?変な声出さないでよ!」
「す、すみません…でも先輩にギュッてしてもらうと嬉しくって///」
「!?きゅ〜…」
「えっ!?せ、先輩!?先輩!?」
色々な限界の来た遥は気絶するかのように眠りにつくのだった。
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