第8話
「ふぁ…」
「そろそろ…寝よっか」
琴葉が欠伸をし、時計を見れば既に日付が変わろうとしていた。
あの後、互いに少しの気まずさを感じつつも雑談に花を咲かせていた。
「そう…ですね」
「琴葉ちゃんはいつも何時くらいに寝てるの?」
「私は普段は日付が変わる前には寝ていますね」
「じゃあこのくらいの時間か。朝は?」
「いつもは6時にアラームをかけてます」
「あ、朝は同じだね!朝ご飯とかはどうしてる?」
「お弁当を作るついでに食べてます」
「そこも同じだね。明日はお休みだけどどうする?」
「ご迷惑じゃなければ私が用意してもいいですか?」
「全然迷惑じゃないよ!むしろいいの?」
「はい!」
そんな話をしつつ、寝室へと移動した2人。
先程の事もあり琴葉を意識してしまっている遥は、ベッドを前にして緊張が極限になっていた。
「こ、琴葉ちゃん。わ、私ソファで寝るから、ベッド使って」
「えっ!?そ、それなら私がソファで寝ますよ!」
「そ、それはだ、ダメだよ!琴葉ちゃんはお客さんなんだし!」
「それを言ったら家主の先輩がソファで寝てるのに、ベッドでなんて寝れないですよ!
先輩は…私と一緒に寝るの…嫌…ですか?」
「うっ…。で、でも…」
(うぐぐ…そんな寂しそうな顔されたら断れないじゃん!でも、琴葉ちゃんの事意識しちゃって近くにいるとドキドキが…!)
「それに…先輩、さっき何でも言ってって言ったじゃないですか…」
「分かったよ…」
(ぐわー!私のバカー!何でそんな事言っちゃったのさー!)
遥はまさか慰める為に言った自分の発言に苦しめられるとは思っていなかった。
しかしこうまで言われてしまえば断る事も出来ず、一緒に寝る事を決意するのだった。
「こ、琴葉ちゃん奥側へ行って貰っていい?」
「分かりました」
そう言って先に布団へ入る琴葉。
そして、「先輩、どうぞ?」と言いながら軽く布団を捲る琴葉を見て、先程決意したばかりの心が揺れていた。
(む、無理だぁー!)
「先輩?」
「はひー!」
「入らないんですか?」
「入らさせていただきます!」
「ふふっ…なんですか?それ」
「うっ…。かわ…な、なんでもないよ」
「そうですか?」
「うん。じゃ、じゃあ、お邪魔します…」
「はい!」
「!!!!」
遥が布団へ入った途端、琴葉は遥へ抱きついた。
「ちょ、ちょ、ちょ、琴葉ちゃん!?!?」
「どうしたんですか?先輩」
「どうしたんですか?じゃないよ!?な、なんで抱きついてるの!?」
「ダメ…ですか?」
「うぐぅ…それズルいよ…そんな顔されたらダメって言えないじゃん…」
「ふふっ///先輩もギュッてしてくれませんか?」
「で、でも…」
「先輩に、ギュッてされるととっても落ち着くんです。だから…お願いします//」
「くっ…これでいい?」
「はいっ!」
遥は琴葉のお願いを断る事が出来ず、琴葉をギュッと抱き締めるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます