エピローグ
蝉の声が鳴り響く。早朝に起きてまでやる事と言えば、宿題と部活動の一環。創作くらい。
大学図書館でのイベントはまだ先。もう少し寝たかった気もする。ベッドから起き上がり洗面所で朝の支度をする。
リビングの針時計。時針は六時零分を示す一分前。五九分から動き出そうと微妙に分針が揺れる。
カチカチカチ……。カチャッ……。
土曜日の六時に見るテレビ番組など無い。ただでさえ、土曜日なんてつまらないんだから。日曜日はもっと憂鬱。
そんな週末という貴重な休みなのだから、少しくらい自分の過ごしたいように過ごしたっていいじゃないか。だって、中学生だ。何かに没頭していい中学二年生なんだから。
戦いから一ヶ月なんて遠い昔の話みたいに感じる。夏休み。登校日でないとよりそう思う。
あの痛みを忘れないようにする。でないと、何も感じない。感情が無くなったら、もう力を持つ人物として失格だから。
鏡の前に映るアテナはいつもと変わらない彼女だ。アテナはアテナ。女神でもない。ただの人間だ。
Master's Shadow, Student's Light 忽那 和音 @waonkutsuna
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