第7話 そして伝説……じゃなくて犯人捜しへ

「幼年学校でこんな事があったの。覚えているでしょ」

「そうだったな。ティナはあの時の?」

「そう。姫に助けられた一人よ」

「凄く背が伸びたな」

「違います。私が大きい方です。痩せたんです」


 姫は私の顔をじいーっと見つめた後、足の先から頭のてっぺんまで何度も見た。


「すまない。当時よりスマートになっているから。背も伸びた?」

「もちろん。姫は?」

「私だって背は伸びてる……ティナよりは少なめだけど」

「うんうん。姫もちゃんと成長しててよかった」

「ところでもう一人の方は?」

「サナちゃんね。彼女はグラスダース王国に引っ越したの。あっちは人間族が多くて種族差別が少ないからって」

「そうか。ところでティナ。本当に犯人の目星はついているのか?」

「だから二年前の事を話したの。あの時の悪者は黒竜と青鬼と赤鬼だったでしょ。あの青鬼がウチのクラスにいたじゃない。学級委員長のグスタフ・アルヴェーン」

「ああ、アレか。赤鬼の方は?」

「あっちは成績が悪くてこの学園に通えなかった。グスタフは頭がメチャいいからね。何か仕掛けがある」

「例えば?」

「姫が問題を起こして勘当されちゃうような仕掛け。具体的な事は思いつかないけど、さっきの死骸が……例えば……他の生徒の仕業に見せかけて」

「私がぶん殴ったら冤罪だったとか?」

「そう。そんな感じ。でも、それじゃあ足りないと思う」


 そうだ。何か仕掛けがある。

 姫を失脚させて有罪に仕立てる何かが。


 それが何かは分からない。

 でも私は決意した。


 そう、私だけの黄金竜。

 ウルファ姫を守るのは私だけ。


 大好きな姫を守り抜く。

 それこそが私の存在意義なのだ。

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私の黄金竜 暗黒星雲 @darknebula

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