オーガニック・スシ
輝空歩
企画:曼荼羅-V3 さん
「じゅるり..」
溢れそうなほどの唾液が口内で生産されてゆく。
取り調べにおいてカツ丼が出るというのはよく聞く話だけど、私の場合はこのすしとやらが出された。 それが、今、僕が向かう机に、高級そうな皿にすわりちょこんと置いてある。
「オーガニックスシだ。」狭苦しい取調室の壁に寄りかかった警官がうす気味悪いスマイルを浮かべる。きっとこいつは俺がこの寿司の美味しさに感激し組の秘密情報をベラベラと話すとでも思っているのであろう。 この僕をなめるな! 僕はそんな薄情な人間なんかじゃない、こんな腹も膨れぬ飯なんk..
「...」
しかしながらこの魚類は.. 僕の聖なる五感全てを巧みに誘惑する。 無数の光沢が輝く赤く滑らかなネタ。 そして奏でる微量な山葵を含んだ香り。 僕の集中力の世界は完全に外界とシャットアウトされその中で雄一ぼくといっしょにそんざいする
どうやら僕にはこの米魚を口にする以外選択肢はないようだ。仕方ない。一口いただくとしよう。
私はゆっくり手を伸ばし、寿司をつかんだ。
「!」
何という感触。 回転寿司とは全く違う。このとろりとした感触。わざわざ口に運ばなくても指で十分食べられるぐらいだ。シャリシャリと鳴る山葵の音を聞きながら 口に向かい入れる。
「mmmmmmmmmmmmm♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
美味しすぎぃい その美味しさは世界中の旨い寿司を凝縮したような。とにかく今まで口にしたものの中でダントツにおいしすぃ ほんとにほっぺが溶け落ちそうだ。 いやもう落ちてるんじゃないか? そんなことはいいのだ。 ただただ旨く、私は旨さの海に溺れているのだ。これだけで一生幸せになれるぐらい、おいすい。
数分後、すっかり忘れていたおまわりさんが聞いてきた。
警「仲間はどこにいる?」
私「アジトの地下だよ〜♡」
警「おけ」
オーガニック・スシ 輝空歩 @TS_Worite
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます