天の川銀河動乱

第29話 5年後...

アメリカ合衆国フロリダ州 




 5年後...




 フロリダに照り付ける太陽は日本のそれより強く俺はパラソル付のビーチベットに避難していたのだ。


 久々に基地の外に外出ということもあり開放的な気分を味わっていたのだが、いかんせんこの太陽は堪える。思えば俺も30も半ば...一応トレーニングはしているが20代の頃とはわけが違うのだ。


 いかにもなトロピカルカクテルを口にして物思いにふけてみる...隣においてあるベッドには水着姿のヨハンナが同じくカクテルを飲んでくつろいでいた。


 俺たちの視線の先には4歳になる愛娘とこんな時にまで駆り出されたギブソンが太陽の下でビーチを駆けまわっていた。


 どうせ政府に監視されているのなら御守を押し付けてやっていると言ったところだ。


 俺が家庭を持つことなんて一生無いと思っていた...まあ世間一般の家庭とはかなり置かれている状況は違うかもしれないがそれでも今は幸せだと思う。



(珍しく真剣な表情してるじゃない。)


 (ちょっと昔を思い出してね...お義父さんにショットガンを突きつけられた事とか。)


 (ああ、あの時の事...パパも反省してるから許してあげて。)


 あの時は参ったよ、人生で初めて死を覚悟した瞬間だった...今では笑い話だ。


まあ考えてみればあの反応も当然だろう...訳の分からない外国人が娘さんを妊娠させましたので結婚させてください...なんて挨拶に来たら銃を突きつけたくなる気持ちは理解できる...娘が出来た今なら尚更そうだ。



ヨハンナのお父さんが俺にショットガンを突きつけた瞬間、外で監視していたアメリカ政府の監視の連中が部屋に乗り込んできてあわや銃撃戦になりかけたときは本当にどうなるかと思った...まあ何とかなったからよかったのだが。



この5年で様々な事が様変わりした...


 地球の科学技術力...というと語弊があるかもしれないが、とにかくそれが飛躍的に向上したのだ。


 より効率的かつ小型の核融合炉の実用化、重力制御装置の開発、冶金技術の飛躍的向上...その他にも枚挙にいとまがない。




 エリア51の地下12階においてブラックホールエンジン搭載1300ft(400m)級の宇宙艦艇の建造も着々と進められていたのだ...完成すれば人類にとって宇宙はより身近な存在となるだろう。



 「パパ、おきなさい。ギブソンおじさんはギブアップだって。」


 娘のエマが俺の足をつねる...視線をそちらに移すと今年で50歳になるギブソンがビーチで仰向けになってへばっていた...


 「はいはい、今行きますよ。」


 「はいはいっかいでしょ。」


 そりゃどうも、日本語で講義ありがとう

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