第28話 Knocked Up

アメリカ合衆国ネバダ州 エリア51 


 


 ニューイヤーを迎え、1月も既に後半を過ぎようとしていた...


 時が経つのが恐ろしく早く感じるのは環境のせいなのか俺が年を取ったせいなのか...


 確か人間の体感時間は20歳がピークでそれ以降どんどん短くなるという説を聞いたことがある...


 俺も今年の誕生日が来れば30歳


 子供の時、想像する30歳というのは恐ろしく大人...というよりおっさんに感じられたものだ。


 俺はどうなんだろうな...俺はちゃんと大人になれたのだろうか?ただ無駄に年齢を重ねただけのような気もする...なんていうか子供の頃想像した30歳のイメージと今の俺とはかなり剥離していることは確かだ。


 俺はワイングラスに口をつけながら感傷に浸る振りをしてみるが...いや、辞めよう。こんなのは俺に似合わないな。


  まあ別にいいか...大人になりきれてなくったって構わないだろう。


 (どうしたの?考え事?)


 俺の様子を察したのかヨハンナが俺に問いかける...


 (いいや、別に大したことじゃないさ。ただ子供の時の頃を思い出していただけだ。...それより今日は飲まないのか?)


 (ちょっとね...それよりハヤトの子供の頃ってどうだったの?)


 (どうって言われてもな...まあ普通のガキだったよ。)


 (普通じゃ分からないでしょ?ガールフレンドはいた?)


 ああ、そっちの話ね...


 (まあ、いたことはいたよ...すぐに別れたけど。)


 まあ学生の頃の恋愛なんてそんなものだろう...俺も当時付き合っていた彼女もただ同じ環境にいたから恋愛のようなものに発展しただけ...今思えば俺もただ何となく告白されたから付き合ってみただけという感じだったのかもしれない。


 (へぇ...まあ私もそこまで長続きしなかったけど。)


 (アメフト部のクォーターバックの彼だっけ?)


 (そそ、まあプロムの時誘われたからちょっと付き合ってただけ。その後も何人か付き合ってたけど、まあ大体皆似たようなパターンって感じ...)


 (お互い恋愛は不得意らしいな...)


 (そうかも...でも今回はうまくいくでしょ?)


 彼女の青い瞳が俺を覗き込む...その表情にはなにか不安や決意のような...言葉に表しにくいものが含まれているようであったのだ。


 (そうだな...きっとうまくいくよ。)


 きっかけと始まりはどうであれ俺は彼女の事が好きになってしまっていた...確かにサラが余計なことをしたせいで彼女は俺に好意を抱いたのかもしれない...それはたぶん恋愛において反則とも言える行為だろうと言う事も俺は分かっている。


 ただ人間は理屈じゃない、たとえそうだったとしても...きっかけはどうであれ今の気持ちは嘘ではないと思う。


 (ありがとう、でもちょっとうまくいきすぎたかも...)


 (いきすぎた?)


 (妊娠したの、父親はあなた...)




 えっ




 .........まじですか?




 あの時...あの時か...いやでもたった1回で...



(2回してたな、私は見ていたぞ。)



 黙っててくれ出歯亀宇宙人



 落ち着け、妊娠って事は...俺が父親になる?




 いや、考えても仕方がない...もうなるようになったのだから覚悟を決めるしかない...




 俺は彼女を抱きしめた、それが俺の返事だった。




 

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