第21話 目的地まで何マイル?

登場人物紹介

トム・ギブソン

東アジア地区日本担当のNSA局員

日本語に堪能




 アメリカ合衆国ネバダ州ラスベガス


 シャワーを浴び終わり部屋に戻ると彼女は既に目覚めていた。


 (おはよう。二日酔い大丈夫?)



 彼女が俺にそう語り掛ける...最初に出会った時、彼女の顔がキツイタイプに見えたのだが今の表情は全くそれを感じさせなかった。ほのかに紅潮した頬に寝起きのとろけるような表情と乱れたブロンドの髪は天使のように見え、思わず目を背けてしまいそうになる。


ちなみにテレパシーは一度送った相手だと回線のようなものが出来るらしく、逆に向こう側から俺に話しかけることも可能らしい。


 (あぁ...大丈夫だ。)


 恐ろしく気まずい...ていうか俺って最低な奴じゃないかこれ...


 (ごめん、俺は最低な男だ...君を酔わせてこんな...)


 (別に私は酔ってなかったけど?)


 (えっ...)


 (それに嫌ならちゃんと拒否するから、当たり前でしょ?)


 その時、ホテルの扉がノックされる音が響いた。


 俺は慌ててバスローブを着て扉を開けると一人の男がそこには立っていた。


 「よう色男、さっさと着替えな。あと30分で出発だ。無論彼女も一緒にな。」


 なんか最近似たようなことを誰かさんから言われた気がする...というよりこいつ日本語上手いな


 「出発って一体どこに?」


 「行けば分かるさ、ここから80マイルほど行った場所だ。」


 80マイル...それって何キロくらいだ?


 アメリカって国は俺たちメートル法の国からしたら頭が痛くなるほど単位が多い国だよな...はやくヤードポンド法に馴れなくては...


 「準備が出来たら声をかけてくれ、部屋の前で待ってる。」


その男はそういうと扉を閉め廊下に戻ったのだった。


 どうやらコーヒー飲んでゆっくりしてる暇はなさそうだ。本当ならヨハンナとこれからの関係について話したかったのだが...



 (ヨハンナ...どうやら迎えが来たみたいだ。)


 (ちょっと私もシャワー浴びてくるから待たせておいて。)



 彼女はそう告げると俺に顔を近づけ、唇が触れた



 人生って奴はどうなるか分からないもんだ...この時ほどそう思ったことは無い。


 もし数週間過去に戻って自分自身に今の現状を説明したとしても絶対に信じないであろう。宇宙人に取りつかれてベガスでこんな美人とキスするだなんて現実離れしすぎている。いや、まあキス以上の事をしてしまったが...そういえば理想のカップルの身長差は12cmだと聞いたことがある...キスをするのにそれくらいがちょうどいいのだとか 俺達がちょうどそれくらいだから当てはまっていることになる...俺の方が12cmくらい低い事に目を瞑ればだが。



 とりあえずさっき歯を磨いておいてよかった...


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る