第20話 Hangover

 次の日の朝...アメリカ合衆国ネバダ州ラスベガス ホテルの一室


 酷い喉の渇きと頭痛、倦怠感で俺は目を覚ましたのだった。


 頭がクラクラする...まるで世界が回っているようだ。


 ホテルの部屋まで戻ってきた記憶が無い、間違いなく二日酔である。


 俺はどれだけ飲んだ?


 とにかく水が飲みたいという欲求が俺を支配していた。


 俺は頭を押さえながらなんとかベッドから起き上がった...その時自分が何も衣服を身に着けていないことに気が付いたのだ。


 何故だか全く覚えていないがまあいい、とりあえず水を飲んでシャワーでも浴びよう。


 その時、俺のベッドに...つまり今隣に誰かがいることに気が付いた。


 そして俺がその人物の顔を認識したとき俺の酔いは一気にさめ、冷や汗が流れ出した。


 隣にはヨハンナが寝ていたのだ、それも俺と同じく生まれたままの姿で


 スヤスヤと寝息立て、気持ちよさそうに寝ている彼女がそこには存在したのだ。



やばいやばいやばい


 俺はやっちまったのか?昨日何があった?


 思い出せ...



 確か俺たちはバカラをやった後にカジノのバーで飲み始めたんだったよな...


 最初はカクテルなんかを二人で飲んでいた気がしたが...


 そうだ、思い出した。


 ヨハンナが俺にあるカクテルを飲むように進めてきたんだった...


 そのカクテルはB-52とかいう爆撃機の名がついているシューターカクテル...


 このカクテルは一気飲みするものだと言われ俺もほどほどに酔っていたためそれに乗せられたんだった...


 その後ヨハンナが俺の事を煽るもんだから調子よく何杯も飲んじまった...


 俺はあれで完全に出来上がった、そのせいでたぶん理性も何もかもぶっ飛んじまった。


 俺がふらふらになったもんだからヨハンナが俺の肩を支えて部屋まで送ってくれたんだった...


 その時、彼女の瞳を覗き込んだ、まるで宇宙を覗き込んでいるようだった...あのブルーアイズに吸い込まれそうになって...



 (私は全部見ていたぞ、まあ中々に楽しかったよ。)


 ...当然の事ながらサラは全て見ていただろう。最悪だ


 (よかったじゃないか、それに言っただろう?彼女は貴様に気があると...当然の成り行きだな。)


 勘弁してくれ...


 (まあ男なら責任は取ることだ、それに恐らく多くの人間が貴様たちの行為を目撃したのだから覚悟を決めろ。)


 なんだって?多くの人間が見てたって...


 サラが見ていたというなら分かるのだが...


(なんだ、そんな当然の事を理解していなかったのか?私はお前たちが随分と大胆だと感心していたくらいだったのだが...)


どういうことだ?


 (お前たちは監視されているんだぞ。この部屋だって隠しカメラと盗聴器くらい仕掛けられているはずだ...当たり前の事だろう?)


 俺はそのサラの言葉で血の気が引く感覚を味わったのだった。






 昨夜、ホテル別室



 こいつらここまで遊びに来たのか?本当に大丈夫なんだろうな...


 モニターで二人を監視しているNSA局員はその緊張感の無さに脱力しきっていた。まあ確かに誰かに狙われている訳ではないのだが...


 「女の方がまだ自分の部屋に戻っていないようだが?」


 隣の別の局員がモニターを見ながらそう話しかける...当然の事ながらあの二人はホテル中に仕掛けられたカメラで24時間監視されておりそれは部屋の中も例外ではなかった。


 「今男の部屋にいるよ。おいおい勘弁してくれ、こいつらマジかよ...」


 「どうした?何かあったのか?」


 「いや、問題はない。ただあの二人思ったより仲がいいみたいでね...ボディランゲージで熱い愛情を確かめ合ってる最中だ。」


 これが対象の弱みを握るため監視してるなら大成功だろうが、今回の任務はそうじゃない...これでは国営ピーピングトムだ。


 それにしても人は見かけによらずってか、ああいう女を落とせる男には到底見えなかったが...


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