第15話 エンド・オブ・エブリデイライフ
登場人物紹介
新島 加奈
29歳 日本人 警察官
速人とは中学と高校の同級生
ヨハンナが家に尋ねてきてからちょうど1週間が経過しようとしていた...
最近までは温かかった気温もどんどん下がり本格的な冬が到来したことを俺は実感していた。
もう12月だ、そろそろクリスマス...それが過ぎれば今年もあっという間に終わりだ。
今年は...いや今年と言うよりここ最近いろいろなことがありすぎた。来年はどうなることやら...もはや想像すらできない。
クリスマスか...去年は一人で過ごしたな...まあ仕事だったという言い訳が使えたのだが今年はそうはいかない。
独り身にはつらいイベントが目白押しの季節だ全く。...いや今年はある意味一人ではないのだが...
(そんなに寂しいなら中尉を誘えばいい。連絡先は聞いたんだろう?言っておくが私がいるからといって一人な事には変わりないのだぞ。一心同体だと言ったはずだ。)
欧米のクリスマスは家族と過ごす日らしいぞ...俺も詳しくは知らんがな。
その時だった、スマホのメッセンジャーアプリに通知が来たのは。
俺はそのメッセージを確認する...送り主は同級生の加奈からであった。
24日どうせ暇でしょ?食事でも一緒に行かない?
こいつも昔から失礼な奴だよ...まあ事実だからしょうがないが。
(なんだ、クリスマス誘ってくれる人がいるじゃないか。二股は感心しないがな。)
俺は誰とも付き合っていないが...というより俺たちはそんな事してる場合じゃないだろう?そろそろ例のメモリーカードの件で何かしらのアクションがあってもいいころだろう。
(当然だ、だがクリスマスケーキとチキンだけは用意してくれよ?)
こいつ本格的に自分の使命を忘れかけてないか?まあとりあえず加奈には後で返信をしておこう。
そういえば一応両親には会社を辞めたことを電話で伝えたが加奈には言ってなかったな...
本当なら両親に直接会いに行こうかと思ったが何となく気が進まなかった...別に関係が悪いとかではない、ただ今回の件にあまり巻き込みたくないのだ。
加奈の方は...まあ特に何も言う必要もないだろう。同じく俺たちの計画に巻き込む恐れがあるので距離を置いておく方がいいと思う。
地球を満喫し始めている宇宙人様と過ごす日々に俺も慣れていき、仕事も辞めた今の俺は置かれている状況を考えなければ働いているときよりは楽しい日々を過ごしていると言っていいかもしれない。
しかしこの今の状況など長続きするものではない...今はいうなれば日常と非日常の境目にいると言っていいだろう...そしてついに俺たちは非日常に足を踏み入れようとしていた。
玄関のチャイムの音が部屋に響いた、その響きは俺たちの日常の終わりを告げるものであったのだ。
俺は恐る恐る玄関を開ける...何となく訪問者の正体についてもう心当たりがあるのだ。
扉を開けるとそこには二人組の男が立っていた。白人と黒人の二人組...その醸し出す雰囲気で俺は全てを察したのである。
「中原速人だな?我々と来てもらおう。」
白人の男の方が流暢な日本語で俺にそう問いかける。
「...そろそろ迎えに来る頃だと思っていた。ちょっと待ってくれ...既に荷物は準備してある。」
こうなることは予想がついていた...だから既にトランクケースに必要な物は詰め込んでおいたのだ。
さあ、行こうか。
グッバイ俺の日常。
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