第10話 紳士ではないがブロンドは好きかもしれない
登場人物紹介
ヨハンナ・ファーナビー
アメリカ空軍中尉
24歳
仕方なく俺は振り返りあのブロンドの女性の後を追いかけた....
まるでストーカーのようだが仕方ない、さっさと近づいてテレパシーを送ってしまおう...
テレパシーを送りたい相手には30m以内に近づかなければならない...まあそこそこ長い距離ではあるので不自然に近づきすぎたりはしなくても大丈夫なのだ。
俺はあのブロンドの女性に意識を集中して相手の脳内に直接語り掛けた。
(Hi、もしもし!すみません、聞こえてる!?)
俺は彼女にテレパシーで話しかけると彼女は困惑した様子で辺りを見回し始めた...当然の反応だろう、俺だって最初にサラに話しかけられた時はあんな感じだったのだろうから。
(落ち着いて聞いてほしい、俺は今直接君の脳内へテレパシーを送っている...困惑するのも無理ないが...)
すると数秒後、俺の脳内へ彼女から返事が返ってきたのである...
(うそでしょ!?あんた一体誰!?どんなトリックを使ってこんな...)
(俺の名は中原速人...まあ俺の事はどうでもいいんだが...)
(どうでもいい?Mrナカハラ...それは一体どういう事?というよりあなた一体どこから私に話しかけているの?トリックは分からないけどせめて姿を現すのが礼儀じゃない?)
まあ確かにそうだろう...サラとは違って俺には実体があるのだからそれは出来る...まあ仕方あるまい、ただでさえ初対面の女性と話すのは苦手だと言うのにあんな美人は勘弁してほしい...いやあんな美人と話せるチャンスだと言ったほうがいいのか?
(これはすまない、振り返ってくれ...君の20mくらい後方に今いる男が俺だ、左手を今から挙げるから確認できると思う。)
俺は左手を挙げるとあのブロンドの女性がこちらに強い歩調で向かってきたのだ。そして俺の前に立つとテレパシーではなく直接言葉で俺に話しかけてきた...
「○※◎▼※△☆▲※◎★●▲※!!!!??!!」
しかし、当然の事ながら俺の英語力は壊滅的で会話することなど不可能であり何を言っているのか全く理解できなかった...いやまあ簡単な英語なら理解できるのだがネイティブスピーカーの早口でまくしたてる言葉など当然理解できるはずもない。
(すまない、俺は英語が話せないんだ...テレパシーでお願いしたい...)
ていうか、目の前に立たれるとこの女性...すげーでかいな。何がとは言わんが。
先ほどの遠目や一瞬すれ違ったのとは違い至近距離で彼女を眺めるとやはりとんでもない美人だと俺には理解できた...透き通るような青い瞳ときつい感じのタイプの女性の顔に俺は思わず顔を背けてしまった...
(英語が話せない?まあ確かにあなたは日本人のようだから...ああ、ごめんなさい。ヨハンナ・ファーナビーよ。それより一体これはどんなトリックを使って?それとも新手のナンパ?)
やっぱりそう感じるのか...
(まさか、俺みたいな男が君みたいな女性をナンパするわけがない。)
(そう?なら私に一体どんな用事があるの?悪いけど10時半にヨガ教室があるからあなたに付き合ってる時間はないんだけど...)
(今日は休め。)
その時いきなりサラが割り込んで発言したのだった...ていうかサラの奴、俺が他の第三者と行っているテレパシーに参加できるのか...まるでボイスチャットのグループ通話だなこれ。脳内通話と言ったほうがいいかもしれん。
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