第9話 コンタクト
とりあえず俺は駅近くのコーヒーショップでモーニングセットで朝食を済ませて行動を起こすことにした...腹が減っては戦は出来ぬと昔の人も言っていたからな。いや本当にこれは宇宙戦争の準備なんだから冗談ではないか...
(それにしても地球の食事はバラエティーに富んでいるな、私達の星では戦争の影響もあってか食事など栄養補給が最優先だった...)
どうやらサラたちの惑星...というより反帝国諸国同盟所属の国家の殆どが食事や娯楽などと言った文化は帝国との戦争以降急激に衰退してしまったらしい。食事も栄養を取るだけの合成食糧だったという。
そういえば2日前息抜きにアクション映画をサラと一緒に見たっけか。随分と気に入ったようで他の映画も見たいと言っていたな...銀河の危機において1分1秒も無駄に出来ないと言っていたのは誰であったか...今度は独立記念日の映画でも見せておくか。
(独立記念日の映画?なんだそれは?またシュワちゃんの映画か?)
いや、違う。まあ内容は地球に宇宙人が攻めてくる話だ。中々に俺たちに関係のある話だろう?
(ほう、そうか。なら次回はそれを見るとしよう...できればシュワちゃんもまた見たいがな。)
お前はそんなにシュワちゃんが気に入ったのか...ならシュワちゃんが宇宙人と戦う映画もあるからそれも見せてやるよ...
(それは楽しみだ...その為にもさっさと仕事に取り掛かってもらおう。)
へいへい、そうですね。...なんだかこのサラとのやり取りも慣れてきて怒りもだんだん沸かなくなってきた。
さて、じゃあさっさと六次の隔り理論で合衆国大統領とまでは行かなくても偉い人のところまで行ってやりますか。
俺はサンドウィッチをコーヒーで胃袋に流し込み、お目当てのアメリカ軍人を探すため福生駅周辺を散策することにした。
まあとりあえずの取っ掛かりとしては米軍の関係者っぽい人であれば誰でもいいかと思う...問題はこの俺たちの話を信じてもらわなければならないところであろうが...これもテレパシーでなんとかするしかない。
その後10分駅周辺を歩き回った結果、流石福生と言うべきか土地柄既に軍人らしきグループを何組か目撃してはいるが...
できれば単独で行動している人はいないものか...そっちの方がはるかにコンタクトを取りやすい気がする。というよりここじゃなくてアメリカ大使館の方に行けばよかったかもしれないな...まあもう来てしまった以上今日はここで粘って駄目なら後日大使館周辺に行ってみてもいいか...
そんなことを考えていると一人のアメリカ人女性と俺たちはすれ違った...どうやら単独で行動しているようだが俺は彼女をスルーしようとしていると...
(いたじゃないか!単独行動をしている米軍関係者の可能性が高い人物が!なぜテレパシーを送らない!?)
いやいやいや、アレはいかんでしょ、無理無理無理だって
髪は短いショートのブロンドヘアー、身長もあれたぶん180cm以上あるよな...まるでファッション誌かそれこそ映画からそのまま出てきたのではないかと言うオーラがある。特に胸が...
(おい、容姿の事はどうでもいい。分かっているとは思うがナンパをするわけではないのだからな。)
いや、確かにそうなんだけどね。まあ実際面と向かって言葉で話すわけではないからそこまで緊張はしないとおもうが...
(分かっているならさっさとテレパシーを送れ。)
はいはい、分かりました、やりますよ。やればいいんでしょ、やれば。
(あの女から合衆国政府関係者までいきなり繋がればいいのだがな。あとついでにシュワちゃんの連絡先も知らないか聞いておいてくれ。)
...おい。
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