第8話 プランB

一週間後...東京都福生市




 とりあえずペンタゴンにハッキングを仕掛けるという作戦を無しにしてもらったのでアメリカに接触するためのプランBを俺たちは実行しようとしていた。




 その前にこの一週間の動きを説明しておかなくてはならないだろう...まずサラに体を貸している間に勝手に職場に内容証明で退職届を出された。ふぁっく




 銀河の危機に働いている場合ではないんだと、いや、違う仕事が出来ただけか...まあ金ならサラが何とかすると豪語していたのでもうどうにでもなれ...




  糞上司からも鬼のような着信履歴があったがサラが対応してくれた...まあ元々仕事なんて辞めたかったからいいか...まあでもまだ辞めたわけではなく有給消化中である。よくあの会社から有給を勝ち取れたものだ...宇宙人様様だ。




 この一週間俺は殆どサラに体を貸していただけなので、実のところ殆ど何もしていないに等しい...ただ今回は俺が同意したということもあってか気絶していた時とは違ってサラが俺の体を動かしているときにも俺の意識自体は存在する...なんとも不思議な感覚だ。




 そして俺がサラに憑依された影響で恩恵も存在した...それは宇宙人である彼女が地球人である俺との意思疎通が可能な理由の説明にもなる能力であった。




 テレパシー...というと陳腐な表現になってしまうがその言葉が適切であろう...サラが思念生命体へと変化したときに身に着けたコミュニケーション能力が俺にも扱えるようになっていたのだ。この能力は俺から30m以内にいる相手を対象にテレパシーを送り言語の壁などを乗り越えて直接脳内へと語り掛ける能力であった。つまり俺とサラが会話しているのと同じように第三者ともお互いに脳内で直接意識を送りあうことが可能なのである。




 そしてこの能力のおかげでプランBが実行可能になったのだ...




 プランB...それは以前俺がテレビで見た企画を参考に考え付いた作戦であった。




 それは六次の隔たりと呼ばれる仮説を用いた作戦である...簡単に説明すると知り合いの知り合いを経由していくと世界中の誰にでもアクセスできると言えばいいだろうか...確かテレビではランダムな人にとある有名人を知っているか尋ねていき、知らなければ知っていそうな知人を紹介してもらうということを繰り返して何人目かは忘れたが最終的にその芸能人へとたどり着いたはずである。




 まあテレビなのでやらせの可能性もあるがこの仮説自体は中々に使えるかもしれない。要するに今回の作戦、プランBはこの理論を用いてアメリカの偉い人までたどり着こうというものであった。理論上はアメリカ合衆国大統領までたどり着けるはず...なによりテレパシーと言う能力がある以上成功するかもしれない。




 そして最初に声をかける...もといテレパシーをかける相手を探すため東京都福生市まで電車で遥々やってきたのだ。




 ここ福生市には在日米軍横田基地が存在する...いきなり基地の中には入れないだろうがそこは抜かりが無い...今日は日曜日の為基地の外に外出する軍人たちが沢山いるだろう。




 とりあえず駅周辺で張り込んでそれっぽいアメリカ人を見つけてテレパシーを送り俺たちに協力してもらおうというのが今回の作戦、プランBであった。


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