第3話 アンドロメダより

日本 アパートの一室にて...


 (聞こえるか?私は思念生命体、この銀河は狙われている。)



 ..........俺はとうとう頭がおかしくなったのか。俺の脳内に直接と表現すべきか...とにかく謎の女性の声が響いていたのだ。モテなさすぎてイマジナリーフレンドならぬイマジナリーガールフレンドをつくってしまったというのか。


 いや、これは案外ラッキーかもしれない。精神科で診断書でも貰って休職してやろうか...いや、あの糞ブラック会社がそんな事認めるはずはない...


 (おい!聞いているのか!聞こえているはずだ!思念同調は成功しているのだ...この銀河の危機において1分1秒を争う事態なのだぞ!)




 「ああ!分かった!聞こえてるよ!クソッ!あんた一体誰だ?どうやって俺に?いや、どこから俺に話しかけている!?」



 (ようやく聞く気になったか地球人、私は思念生命体...お前たちがアンドロメダと呼ぶ銀河よりワームホールを通過しこの星系まで遥々訪れたのだ。)


 ........薬でもやってんのかこの馬鹿女。いや、はたから見ればそれは俺の方か。



 「はぁ...でその宇宙人様は一体俺に何のようで?というよりどこにいる?姿を現せ、話はそれからだ。」


 (言ったであろう、私は思念生命体。私は個であり複数。実体を捨て去り思念のみと成り果ててでも己の使命を全うする者。)



 こいつ頭がおかしいぜ。



 (警告しておくが、貴様が言葉を発さなくて考えは私にも伝わる...思考には注意することだ。)



 なんてことだ。これは俺が本格的に狂ってしまったようだ。酒でも飲んで寝よう。



 (どうやら理解力の低い生命体と同調してしまったようだな...昨夜の情報収集では地球人には期待できそうだったのだが...)


 うるさい、黙れ。勝手に乗り移っておいて...文句があるなら他の奴のところに行ってくれ。


 (既に私は貴様と同調してしまっている。分離は不可能だ。)



 おいおい、勘弁してくれ。これが俺の妄想で無いのだとしたら一生このままだっていうのか!?



 (残念だがそうだ。私も多少後悔している。しかしこれは銀河の危機だ、多少の事は我慢しよう。)



 大体なんだ?銀河の危機?それになぜ宇宙人の貴様が地球の...いや日本語を理解できる?


 (思念生命体となった私は言葉で話しかけているわけではない。貴様と意思疎通するのに言語は不要だ。だが地球の文化を知る上で複数の言語は昨夜習得した。まだまだ完璧ではないが。)


 なんだって...たった一夜で言語を習得した?そんなことが可能なのか?


(本来の私では不可能だ。だが私は思念生命体...主人格は私だが思念生命体となる過程で数千の同胞と融合を果たしている。それゆえ学習能力も向上している。」


 こいつが何を言っているかさっぱりわからない...


 (まあ貴様が理解できなくてもよい。しかし銀河の危機は貴様にも関係のあることだ、理解できなくとも私の計画に貴様も協力してもらう。)

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