第8話 ようこそ!我が自宅へ!!

 勝斗の提案に、最初は反対していた俺だったが、白河先輩の過去の成績を改めて確認すると、このままだと間違いなく赤点確定だと思ったため、渋々承諾した。 勉強会は俺のお姉ちゃんの都合もあり、土曜日に開催することになった。


 そして、時は流れて、土曜日になった――


――ピンポーン


 午前十時頃、家のインターホンが鳴った。

 ちなみに俺が暮らしている家は、学校から徒歩二十分ほどの距離にある二階建ての一軒家である。

 リビングで勉強する準備をしていた俺は、玄関に向かい、客を迎える。


「おはよう蓮!」

「おはよう!鯉川君!」

「おはよう鯉川君」


 そこには、私服姿の勝斗と、制服姿の白河先輩、水野先輩がいた。 ん? なんで先輩たちは制服なんだ?


「おはようございます。えーと、なんで先輩たちは制服なんですか?」

「学校に課題全部忘れちゃって」

「それに私は付き合わされた……」


 俺の質問に白河先輩は「テヘっ」と可愛らしく答え、水野先輩は疲れた表情を浮かべる。 前から思っていたが、水野先輩は白河先輩に振り回されているようで、いつその不満が爆発するのか心配だ。

 そんなことを考えていると、勝斗が不満そうに口を開く。


「とりあえず、中に入れてくれ。喉渇いた」

「お前ってやつは……まーとりあえず、先輩たちを案内してくれてありがとう」


 俺は、先輩たちを俺の家まで案内してくれた勝斗に感謝を述べつつ、三人を家に招き入れ、リビングまで案内する。

 ちなみに、勝斗は赤色のTシャツに茶色のズボンという動きやすそうな服装をしている。 正直おしゃれとは思えない。 まーそれが勝斗らしいと言えばそうなのだが……


 リビングに入ると水野先輩が首をかしげた。


「あれ?鯉川君のお姉さんは居ないの?」

「あー、お姉ちゃんはまだ寝てますよ。一応、九時くらいに起こしに行ったんですけど、二度寝を始めたので……諦めました」


 今日の目的は、勉強の出来る我が姉に勉強を教えてもらうことなのだが……普段、大学とバイトで忙しいお姉ちゃんは、休日は昼間まで寝ていることが多いのだ。 一応、勝斗たちが勉強を教えてもらいに来ることを伝えていたのだが、今日も例に漏れず起きれずにいる。


「ハハハッ!春海はるみさんらしいな!」


 勝斗が笑う。 先輩たちは教える側が寝坊していると聞いて、少し不安そうにしている。

 ちなみに春海はるみというのは、俺のお姉ちゃんの名前だ。

 俺はリビングに置いてあるローテーブルを指差す。ローテーブルの周りには五つのクッションが囲うように置かれている。


「とりあえず、その辺りにでも座ってください。俺はお姉ちゃんを起こしてきます」

「了解」

「オッケー!」

「ん、ありがとう」


 俺はお姉ちゃんを起こしに、二階にあるお姉ちゃんの部屋に向かった――

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