其ノ二十一 見覚え
「え? 何だと?」
と先生が驚いた声で仰って、
「うむ……。あの顔は何処かで見たような……」
先生はその女の顔に見覚えが有った様ですが、中々思い出す事が出来ません。
私は子供の事が気になりましたので、
「お玉ちゃん、大丈夫? お怪我は有りませんか?」
と尋ねますと、
「だいじょぶ。お花、もらった」
と少女は言って、広げた五本骨の風雅な
ああ、これはまるで源氏物語の夕顔の君が、頼りない夕顔の枝を折り取った源氏の君の
明日に続く
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