其ノ五 常夏
「おお……。この方は相当顔色が悪い。ちょっと失礼して」
先生はそう仰って
「ああ……。熱も相当高いな」
と深刻な表情で、こう仰りました。
「
ここではなんだな。お前の話は、後で家でゆっくり聞くとしよう」
先生はこう高蔭に仰った後、患者の方に向き直って、
「お母さん、話は出来ますか? この症状はお産の後からずっと続いているのかね?
あ、そうだ高蔭、このお方の名は?」
とお尋ねになったので、高蔭は先生に対し少し
「名は、お夏と申します」
と答えました。
先生は何かを思い出した様に、小声でこう呟きました。
「お
あ、いや何でもない。
熱も有る……か。
高蔭にお夏と呼ばれた女人は、具合が相当悪いのか、
「ここのしこりが……」
と弱々しく答えました。
「分かった。早速、
あ、ああ高蔭、お前はしばし
ここは医者の
連休明け火曜日に続く
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