後編 花の宴

其ノ一  弥生

 弥生やよいの半ばになりまして、お城の火事の騒ぎもどうにか落ち着き、私お優は以前と同じようにまた、藩主様の国元のご側室そくしつ、お志麻しま方様かたさま灸治療きゅうちりょうに通う事となりました。


 数回通って施術せじゅつをするうち、だんだんとこつがつかめて来たとの先生のご判断と、御簾みすを隔てては居ても、元より男の医者がそばはべる事をいとわれていらっしゃったお志麻の方様の、

「次からは、お優一人で参るがよろし」

 とのお言葉により、本日は私一人で丸御殿まるごてんでの灸治療に参る事となりました。


明日に続く

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