其ノ十二 竹刀

 私も先生が指を指す方向に目を向けますと、校舎と思しき低い瓦屋根かわらやねが何棟も続き、赤い格子窓こうしまどを嵌め込んだ質実剛健な建物群が見えました。


 城壁の上から先生と私が見下ろすと、視界の右側には弓道の的に使う土手どてあづちが盛られ、左側には講堂と思しき大きな建物が広がっており、ちょうど私たちの足元の斜め真下辺りには、土の地面の広場が見えて居りました。


 その時に御座います。私たちの眼下から、


「イヤオヨウ!」


 と言う、聞いた事も無い様な野太い奇声と、太い竹刀しないが折れたかと思われる程、激しくぜた様な音が耳に飛び込んで参りました。



明日に続く

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