其ノ十六 摺鉢
先生は、私が手渡した
「ああ、両の
「ひと月かふた月前から急に酷い頭痛がして、両の目が霞んで見える様になったんじゃ。今ではもう、殆ど見えぬ様になってしまった。
先生、この腫れが引いたら、わしはまた目が見える様に、
おばば様は、
「それは……今は何とも。ひと先ず、炎症を引かせる漢方と目薬を調合しよう。お優、準備を」
私は先生の仰る通りの処方で、はるばる城下から担いで来た大きな薬箱から漢方薬を取り出すと、小型の
「健吉どのと申したな。時折、城下に出る事は有るかね?」
先生が健吉にお尋ねになると、
「はい。米や野菜を行商に伺う事が時折」
「ではその折に、
道は……そうさのう、目立つ看板の豆腐屋が近所に有るから、そこの
先生はそう仰ると、出された柿の葉茶をぐいと終いまで飲み干されました。
明日へ続く
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