三.
体の血が、彼女を欲しがっている。
これを冷ますときが、私の最期、彼女の最期を飾ることに
変わりはないだろう。彼女もそれを考えていたらしく、私に二つの
拳銃を差し出した。
「拳銃を二つ貰ったわ。民衆から与えられた銃弾と銃なんだけれど」
と、彼女は言った。「最期を飾るのに、誰から貰った運命で命を絶つかは、
さして重要なことじゃないわよね?」
「そうだな」
私は両方の銃に弾を一つずつ込めた。そして片方を王妃に渡した。
彼女はもうガウンをとってしまっていて、腕を伸ばし私から拳銃を受け取った。
「ずっとこめかみに当てていましょうね。自分の絶頂を迎えたら、引くのよ」
含み笑いをして言う彼女を、欲望が左手で捕まえた。
どうしてそんなにおしゃべりなのだろう。
誰が?話しているのだろう。
息は途絶えてはいなかった。
聞こえない。
言葉が枯れた。
愛しい体に、雨を降らせた。
地上からも雨が降った。
何度も、突いた。
何度も、締めた。
まだ白くならない。
朝もまだ来ない。
「あなた、こうして私と朝を迎えるのが」
息が絶え絶えになっている彼女が、ふと目を開き
ささやいた。
「 」
言葉が耳に入らない。
朝日が目を射った。
彼女が果てた。
私も、果てた。
どこかの国 ミィ @cat_meechan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます