散文的、死についての、詩。
一葉迷亭
階段を上ることについて
階段を上る時、私は、後ろに倒れてしまうのではないかと怖くなる。怖くなるとますます後ろに倒れると確信してくる。躰は固く、膝、肘がうまく曲がらない。気が変になりそうだ。誰かに助けて欲しいが、彼、彼女らは当たり前のように階段を上り、ごく自然な日常な動作として、そう、それは極々一般的なものとでも言いたげな、馬鹿にしているものとでも私は、言われたかに錯覚し泣きそうになる。階段、そう、その階段が、私を貶める。
足をかける。一歩目。ちょっと頭が後ろに倒れだす。二歩目。頭が天井を見る、後、十一段。吐き気さえする。手すりのないかと手をあちこち弄るが、空を切るだけ、三歩目。もう、後ろだ。
四歩目。なんとか持つ。筋肉が引き攣り、痙攣を起こそうとするが、そんなことをすれば落っこちる。体が震える。歯が噛み合わない。五歩目。誰かが、手を握った。誰かが、分からない。僕はそれに全体重を任せて、六歩目。私は、人を信じれなくなった。7歩目、私は手を握った人間を見た。誰もいなかった。8歩目。躰はなんとか体制を立て直した。あと、三歩。私は、必死に前かがみを作ろうとしながら、あと、二歩。私は気づいた。次も階段がある。20段くらいだろう。私は、座った。頭は、少しづつ後ろに垂れる。躰は、落ちていった。
散文的、死についての、詩。 一葉迷亭 @Itiyoumeiteini
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