第4話「現実」
私は、冷静になって言った。
私:「無理な抵抗はしません。もう何も隠さないでください。」
職員:「そうですね。変な建前を言っても、無駄だということはわかります。これから、この食堂の本質を教えましょう。」
私は、職員に手招きされ、一階の食堂へといった。
ちなみに、この時の私の見解はこうだ。
この食堂では多分、過剰な労働を強いられるのだと思う。寄付金だけでは、やっていられないだろう。だから、辞められないような契約をし、建前上は何の以上もないような状態に保っているのだろう。だとすると、もしかしたら彼らは、私がこの情報を公開しないよう、何か対策を取ってくるかもしれない。監禁、洗脳、口止め料・・・考えられるものは、たくさんある。
・・・もしかしたら、私の身に危険が及ぶかもしれない。
職員:「ここからは、生活保護受給者のプライバシー保護のため、電子機器の持ち込みを禁止します。」
そうか、そう来るのか。私は、黙ってスマホを渡した。それから私は、厳しい身体検査を受け、階段を下りた。そしてそこには、まるでドラマか何かのような光景が広がっていた。そこにいた職員は皆、まるで工事現場かのような作業服を着て、机や椅子は、ボロボロだった。薄暗く、食道内全体が少し曇っていた。そして、何だか息苦しかった。多分、換気ができていないのだろう。
無理もない。食道内は、悲鳴に満ちている。換気でもすれば、近所にそれが聞こえてしまうのだろう。
職員たちは、食べ物を生活保護受給者に強引に詰め込み、脅して口止めをさせ、暴れるものは、食堂から出さなかった。
―私はすべて悟った。
この食堂は、”ゴミ捨て場”だ。”寄付金”というのは、ごみ処理の依頼料なのだろう。どんな企業であっても、食品ロスは、企業のイメージを悪くする。そんな時に、この食堂へ、いらなくなった食品と依頼料を寄付するのだろう。
「弊社の食品ロスは、0です。」
どんな会社だって、食品ロス”0”という数字が欲しい。この食堂は、そんな企業の願いをかなえる、”最悪のゴミ捨て場”なのだ。
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