第2話「面接」
あっという間に二日間が経ち、いよいよ面接の日となった。緊張はしたが、私が落とされるはずがないと思っていた。面接は、11時半からで、「エコエコ食堂」の事務所でやるらしい。私は、10時45分ごろに家を出て、多少迷いながらも、15分くらいで到着した。今日は土曜日で、食堂自体は閉まっているらしく、私は、シャッターが閉まった食堂の横にある階段をのぼり、事務室へと案内された。中には、数人の職員がいた。平均年齢は、多分50歳くらいだろう。かなり早く到着したため、早めに面接を始めてくれるそうだ。事務室の中はとてもきれいで、五個くらいの机が置いてあり、机の上には、デスクトップPCが置いてあった。紙類はほとんどなく、何となく近未来感が漂っていた。この事務室だけを見たら、ここが食堂だとは思いもしないだろう。多分、ここまで立派な事務室なのは、寄付金などの管理のためなのだろう。私は、職員の方々と軽く挨拶をした後、上着を脱ぎ、席に座った。
”面接開始”だ。
面接が始まり、少し緊迫感のある空気が漂った。そして、少し当たり障りのない会話をした後、面接に入った。面接といっても、余りにも普通の面接で、これといって変なところはなかった。そして最後に、職員の一人が笑いながらこう言った。
職員:「ここは、そこまですごいところじゃないから、面接に来てくれるだけでありがたいんですよ。あなた、料理が得意だといっていましたよね。だったら多分、100%受かりますよ。安心しちゃって大丈夫ですからね。」
電話に出てくれた職員とおんなじことを言っていた。いつの間にか、私の緊張はなくなっていて、改めていい職場だと思った。個々の職員たちは、みんな明るくて、話していると楽しくなる。まさに、”理想的な職場”だ。
面接が終わると、この食堂のご飯を持ってきてくれた。私は少し遠慮しながらも、ありがたくいただいた。今日は、いろいろあって朝ご飯を食べていなかった。そんなこともあり、出された牛丼は、とても美味しく感じた。これが無償で提供されているなんて、想像もできない。
そして、何度もお礼を言って、私は帰った。帰ると、なんだかこころがすっきりしていて、その調子で部屋をかたづけた。そして、窓を開け、大きく息を吸って、深呼吸をした。涼しい風が入ってきて、とても気持ちいい。
”私は、運がいい”
今、私は、そう思えるような状態にある。
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