第2話 転換点
紅次郎の運命がぐるりと転換したのはやはりというか長兄である“紅子”が不慮の事故で亡くなってしまった日からであろう。
“お山”の裾に暮らす民であるニレである紅次郎たちの役割は数年に一度”お山“に贄となる男児を花嫁として送り、山向こうの民がこちら側に降りてこないようにすることだ。
「ニレの男児は鬼宮という器官をもっておりこれがあるので女子のように孕めるのだ」
とはこれから数十年後の論文に載るのだがそれはまあ別の話である。
数百年前には女子の花嫁も送られていたそうであるが、どうにも女子の胎では山向こうの民の子はなしにくいらしく……。ではと試しに男児を送ってみたら子を産めたのでそれ以降“お山”に嫁に行くのは男児ということになった。
なのでこの地方では長女は家を護り、長男は“お山”に嫁に行くことになっていた。
魔を孕む 渡影ゆき @tokageyuki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。魔を孕むの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます