リベンジャー 第一章 新しい仲間

リベンジャー 第一章 新しい仲間


「『あの。そちらはどちら様ですか?』」

 白衣とジーンズを着たボサボサ紺色髪の成人くらいな女性だ。それに両手と両脚は義手義足であり、補聴拡声機を首に付けた〈エル・エデン〉が聞いてきた。

 すると優華はエルに紹介する。


「わりいわりい。こいつはスサノオだ。スサノオ。こいつはエル。向こうの世界で出会ったオレの仲間だ」

「『エルです。ボスにはたくさん助けられました』」


 エルは頭を下げた後。レティアが現れ、すぐにスサノオに抱き着いた。レティアの後からゾンビ肌で玉鋼色(要は銀色)のセミロングヘア―であり、胸は標準だ。体もスリムなサムライの姿をした女性も飛びついてきた。


「わーい。新しいお友達だー。優華ちゃーん。この子なんていう子なの?」

「錬気さん。失礼ですよ。自分から名乗らないと」

「あ、そうだった。そうだった」


 ゾンビ侍は一旦離れて、スサノオに。


「改めまして、〈詫磨鋼 錬気(たまはがね れんげ)〉です」

「スサノオだ。よろしく頼む」


 お互い握手する二人。すると優華は皆に声をかけた。


「まあ、なんだ。紹介したんだし、ここからこのギルドを結成しないか。といっても、ギルド政策委員会も今はいなさそうだしな」


 優華は若干困ったのか。髪を掻き始めた。すると、隣から懐かしい声が聞こえた。


(いいんじゃないか。だって、みんな地下へ逃げたのだから。好き勝手にやるのもいいかもしれないぞ)

「お、がま口。久しぶりだな」

(優華君たちも元気だな。まあ、僕も元気だけど。だけど、更なる厄介なモンスターが出てきたみたいでな)


 がま口との再会。優華はがま口のとある言葉に聞いた。

 厄介なモンスターのことだ。


「厄介なモンスター? なんだよ? それは?」

(噂程度だけど、何でも頭が黒い靄を纏ったモンスターがいるという情報だ。彼らも腰抜けだよ。今では地下の暮らしに満足している)

「―――。腑抜けというか。馬鹿ばっかりだな。政府も。あ、そういえばオレに依頼を頼む。おっちゃんはどうした?」


 気になる顔で優華は聞いた。がま口曰く、最近現れた突然変異のモンスターだ。

 見た目は通常のモンスターや魔種(ましゅ)や神種(じんしゅ)と同じであるが、違うのはここからだ。

 頭に黒い靄を纏った魔物が噂ほどであるが、最近見かけている。ほとんどはがま口だけである。

 けど、中には半分の人間は地上で暮らしている〈地上派〉がいる。地上派の人間はとても勇敢であり、現在街を作っている。

 それに対して地下派の人間は他人を見下す癖して、助けようともしない屑野郎ばかりだ。

 これはがま口から聞いた情報だ。優華はその話を聞いて、大きく呆れる。

 こんな緊急時なのによく自分優先で過ごす奴がいたとは……。大きく優華はイラつき始める。

 しかし、こんなところで立ち話ししても、なんも意味がない。優華は壊された建物を見て、考える。

 この建物は大きく使われるからだ。すると、優華はあることを思いついたのか。すぐにスマホを立ち上げて、転移し始める。

 優華以外は全員不思議そうに見ていた。

 数秒後。優華は戻った。


「俺らの帰る家。あったわ!」


 満面の笑みで言う優華。

 どういうことかわからない顔で優華以外の人間は首をかしげる。

 すると、壊れた建物の前で建物が転送する。

 それは前ごろに使われた屋敷だ。


(おやおや、向こうで住んでいた屋敷を持ってくるとは)

「いちいち立て直すのもめんどくせえからさ」

「優華さんったら―」


 にこやかな笑みで優華はそういう。笑み返す安楽満。しかし、モンスターたちがやってくる。

 それは優華たちからすれば、懐かしいモンスターがやってくる。

 それは固まった液体をずるずると近寄る〈スライム〉がやってくる。

 すると、レティアの表情が変わり、きりっとした顔で右腕に付けていたメタルリングを叩くと、ビキニアーマーへ変化。速攻でレーザーブレードで斬った。

 さらに錬気も抜刀で斬り、エルもブーストを起動して、右腕で相手を吹き飛ばす。

 最後に優華が異形な右腕。魔力じゃない何かの力炎を纏い、それが燃え広がって、自身の体を燃やす。すると、炎はスライムに燃え移り、瀕死のスライムたちはそのまま溶けてしまった。


「大したことないな」

「お見事です。優華さん。レンさん。エルさん。錬気さん」


 冷静に言う優華。大きく拍手する安楽満。

 レティアはメタルリングをもう一回叩くと元の服装に戻る。


「ありがとうございます安楽満さん」


 レティアは静かに笑う。しかし、あと一体のスライムががま口以外の人間に向けて、液体を飛ばす。


「あ?」

「きゃ!」

「え?」

「わ!」

「ひゃ!」

「―――?」

「ん?」

「『―――あら?』」


 液体塗れになった優華たち。すると服が溶け始めて、すっぽんぽんとなってしまった。

 〈エロスライム〉が生き残っていた。というより、最後の抵抗を見せていたのか。踏ん張っていた。そして、最後の力を振り絞って、優華たちに攻撃した後。溶けてしまった。


「あらー。まだ生き残っていたのね」

「迂闊だったね」

「エロスライムは死ぬ寸前で相手の衣服を溶かすからな」

「―――びっくりー」

「―――! スライムに溶かされた―」

「ど、どうしましょう」

「これはビックリでござる」

「『失敗しましたね。ボス』」


 全裸は慣れている八人。大きく笑い合った。がま口は気を遣って、後ろを向いた。

 そして、そのまま一同は屋敷へ入った。

 

 魔物図鑑


 スライム 属性 水


 RPG定番のモンスター。物理攻撃に耐性があるが、優華たちの敵ではない。


 エロスライム 属性 水


 エロに特化したスライム。相手の衣服と化したり、飛びついて、変なことをする。場合によっては依り代に使われることも。しかも、やられると最後の力を振り絞って、相手の衣服を溶かす。

 実は女性に対しての拷問でよく使われる。


 次回 新しいギルドの名前 リベンジャー!

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