第五節 第十八話 鴛鴦文

要約動画(https://youtube.com/shorts/nGt26qkmCO)

――――


 自己紹介の最後に指名された少年は、ゆっくりと口を開いた。

「おれ、テコ。12歳」

 12歳。キリと同じ年齢だ。まだ声が幼い。しかし、先ほどのユミよりもよっぽど落ち着いている。

「生まれはモバラってとこ。おれには兄ちゃんと姉ちゃんがいっぱいいて……、家族を助けるために……」

「テコも家族と一緒にトミサへ来たの?」

 家族と聞き、ユミは文机ふづくえに突っ伏していた顔を上げた。

「いや、おれだけ」

 テコはぽつりと呟く。ユミにはそれがどうして家族への助けになるのか分からない。

「おれが頑張れば、家族にもお金が入るって……」

 鳩と言えば、このイイバの地の要だ。業務に対する相応の見返りがあってもおかしくない。

「兄ちゃん姉ちゃんも頑張ったんだけど、鳩になれたのはおれ1人だけ」

 テコにとってそれは幸か不幸か。家族を助けるために家族と別れた。

「この雛が終われば、また帰れるって監督さんも言ってた……」

 テコは唇を嚙みしめる。また家族に会える見込みがあるとは言え、12歳の少年にとってこの状況は酷な物であるだろう。


「うおおおおおお! テコおおおおおおおおおおおおおおお!」

 ユミの隣から興奮を帯びた声が聞こえる。サイが立ち上がったようだ。今度はユミが制する間もなかった。

「お前は優しいなぁ。一緒に頑張ろうなぁ」

 テコに駆け寄ったサイが力強くその体を抱き締める。

「寂しいよなぁ。1人でこんなところまで……。今日から私がお前の家族だ」

 この言動も、初めの内は冗談だろうと眺めていたユミだったが、やがてサイの眼から大粒の涙が零れ落ちるのが見えた。

「サイ……、ありがとう。おれ、頑張る」

 テコの腕もサイの腰へと回されていた。

 やはりサイは、家族に対する思いが人一倍強いのだろうとユミは感じたのだった。


 「よーし、ありがとなテコ。改めて、お前ら七班の担当のトキだ。歳は34だ。ナガラって村からきた。見ての通りのこの体でな。部屋に入りきらんから家から出てけって言われたんだ。ガハハハハハっ!」

 テコを抱き締めたままサイがトキを睨む。

「テコの前で楽しげに言うな!」

 テコの故郷には兄と姉がたくさんだ。場所も取るし、食い代もかかる。言ってしまえばテコは口減らしだ。

 鳩としての才能を持ってしまったがための災難とも言える。

 家を追い出されたと言う無神経な言葉を、サイは許せなかったのだろう。


「だがな、このトミサにいる奴らは俺を受け入れてくれた。でかいやつもちっこいやつもここでは関係ない。誰もがどこか違うんだ。そこの怪力女は分かりやすい例だが」

 トキがサイを顎で示す。

「サイはトミサの生まれだから、この感覚は分からんかも知れん。しかし、お前がしれっとテコのことを家族だと言ったのはすごいことなんだ」

「義兄さん……」

 サイはテコに回していた腕を解いた。体の密着が失われたテコは名残惜しそうな顔を見せる。

「お前と俺のつながりも、きっかけはスナだった。それでも今も変わらず家族だと思ってる」

「にいさあああああん」

 サイはトキに向かって駆け出して行った。

「ちょ、お前引っ付くなって。お前の力じゃ腕が折れる……」

 トキは右腕にしがみついたサイを鬱陶しそうにする。それでも残りの3人に向かって笑顔を湛えた。

「テコも俺のことを兄貴……にしちゃでかすぎるか。親父でも良い、家族だと思ってくれ」

「父ちゃん……」

 テコは遠い眼をする。思い浮かべているのは故郷の父親のことだろうか。一体、何と言われて送り出されたのか。

 少なくともテコの眼からは恨みのような気配は感じない。しかしそれも現時点での話だ。雛が辛いものとなれば、自身を送り出した家族に対して憎しみを覚えるかもしれない。トミサの思い出は苦く、故郷の家族は薄情。そんな心情がテコに渦巻けば、自身の居場所を見失ってしまうだろう。

 一方で、この七班で家族の様にテコを支えることが出来るのなら、雛の困難も乗り越えられるかもしれない。胸を張ってモバラへ帰れるはずだ。

 

「ユミ、お前もだ。確かにお前は普通の鳩とは違うらしい。しかし、人より孵卵に時間がかかったと言うだけで、クイが鳩の適性があると判断したんだから何も問題はない。それにお前より有名な奴らなんていくらでもいる。あまり自分が特別だと思うな」

 特別。それは一見誉め言葉の様にも感じる。しかし、他者からの疎外感もある。昨日、トミサを歩いた時にユミが感じていたのはこれだろう。

 特別だと思うなと言うトキの言葉には、温かみを孕んでいた。それこそ家族の様な。


「ギン……、お前にも何か人と違うことがあるはずだ。特に帰巣本能に目覚めるきっかけとかな」

 それを聞いたギンの顔が、みるみる内に赤くなっていく。

「それが恥ずかしいのは仕方ない。でも皆同じだ。大概の者はそれを語りたがらない。その一方で、むしろ誰かに聞いて欲しくなる瞬間があるかもしれん。辛いことを一人で抱えるのは重いからな。そんな時、この七班でも思い出してくれ」

 口には出さなかったが、俺たちはもう家族なのだから、と言っているような気がした。


 ユミはウラヤの村ですら、同年代の子供たちと馴染めないでいた。しかし、人と人とを繋ぐのが鳩の務めだ。人付き合いが苦手だからと避けて通れるものではない。

 まずは、この七班での絆を確かなものにすること。それがユミへ与えられた雛での最初の課題だった。


「よし、サイ。いい加減席につけ。講義を始める」

 トキは無遠慮にも左の掌でサイの顔を押しやる。それは気心が知れた仲であるからこその所作なのだと感じさせた。


 ――――


 鳩。それが何であるか。改めてトキの口から語られ始める。

 

「このイイバの地は森に覆われている。森は人を迷わせる。唯一森を迷わずに歩ける存在、それが鳩だ。その特性を活かして村々を渡り歩き、人々の生活を支えている」

 ここまでは、ユミが孵卵を受ける前から知っていたことだ。

 

「鳩は帰巣本能によって出生地へと導かれる。孵卵は帰巣本能を目覚めさせるための儀式とも言える」

 これは既にクイから教わっていたことだ。とは言え、ユミには未だ腑に落ちないところがある。

 ユミは孵卵の最後、母のことを思いウラヤへの道を選び取った。

 しかし、いざウラヤへ帰ってみればキリに会いたいと、後ろ髪を引かれる一方だった。

 今だってそうだ。母親と一緒に居られるからこそ、別の望みに誘惑される。そして、その気になればユミは望みを叶えられる。

 それでもキリとは約束した。キリが大人になったら迎えに行くと。その約束が思いを引き留めている。


 また不可解なのは、その日のソラの行動だ。

 森へ入ったソラに導かれるまま歩いた先はラシノだった。いつからラシノへ導かれるようになったかも不明だが、それが帰巣本能によるものならソラの生まれはラシノということになる。

 当然、ユミとしては信じたくない。ユミをラシノへ導くのはキリの存在だが、ソラはキリと会ったことが無い。ならば、ソラをラシノに導くのは何か?

 そこまで考えて、思考を停止する。辿り着きたくない答えを避けるように。願わくば、出生地へ導かれる力という帰巣本能の前提が、嘘であってくれとさえ思ってしまう。

 

「鳩が村の間を移動する時、通常2人1組で行動する。ここトミサの鳩と、それ以外の村の鳩との組み合わせだ。七班の面々もそうなるように組み込んでいる」

 サイとギンがトミサの生まれ。ユミがウラヤ、テコはモバラの鳩だ。そしてユミは「あれ?」と思う。

「私はウラヤの鳩だから、サイかギンかと一緒に行動するってこと……ですか? テコは?」

 少しずつ緊張の解けていたユミが尋ねる。

「おお、察しが良いな。……クイもそんなこと言ってたな」

「そんなこと?」

 ユミは怪訝そうな顔を見せる。クイの意地悪な部分に一度触れた者は嫌な感じがするのだろう。

「いや悪い意味じゃない。お前の頭が良いってことだ」

「えへへへ……」

 褒められたユミは不覚にも口元を緩めてしまう。

 

「じゃあ、おれもサイかギンと?」

 口を挟んできたテコの言葉を聞き、ユミは緩んでいた顔をぴしゃりと手で打つ。感じていた違和感はまだ消えていないのだ。

「おう、そうだ。鳩として森を出るようになったら、しばらくはその組み合わせでの行動となるだろうな」

「しばらくは、ってことはゆくゆく別の鳩とも?」

 ユミの言葉には一縷の望みが孕んでいる。

「ああ、もちろんだ。鳩の仕事は村を渡り歩くだけじゃないからな。ギンやサイが不在なら、お前は他の鳩とウラヤへ行くことになる。他のの鳩とな」

「テコとは一緒にならないの? 同じ七班なのに?」

 だんだんと不安の正体が露わになっていく。

 

「どうしたユミ? 落ち着きがないな。まあ、考えてみろ。お前がテコとトミサを出たとして、どうやってトミサへ帰って来るんだ?」

「私、帰れるよ!」

 ついにユミは声を張り上げてしまった。黙って話を聞いていたサイとギンも驚いた表情でユミを見る。

「ユミ? 帰れるって?」

 サイの問いかけには棘を感じる。ユミは焦る。サイを不快にさせてしまったのではないかと。

「え、えっと……。ウラヤにはカサさんってトミサの鳩が居て、その人についていけば……」

 とっさに言葉が出た。ユミの悪知恵が功を奏したと言えよう。

 

 ウラヤに生まれたクイはウラヤ、トミサに生まれたヤミはトミサの場所しか分からないと言っていた。

 ウラヤにもイチカにもラシノにもナガレにも、今となってはトミサにも。それらに辿り着くことが出来るユミが異端なのだと気づき始めてはいた。

 そしてクイはユミがウラヤの鳩であることを強調していた。出生地を疑われたくなければ余計なことを他言しないようにとも。


「ガハハハハハっ! なるほど、クイが言っていた狡賢ずるがしこさとはそういうことか。言われてみれば確かにそうだ。お前の言うことは間違っていない」

 ユミはずるいと言われた気がしたが、ひとまず危機を脱したのかと安堵する。

「これは俺の聞き方が悪かった。しかしカサにはカサの仕事がある。主にウラヤに住む人達のための仕事だ。お前らのために駆り出されていたら何のための鳩か分からない」

 それもそうかとユミは思う。カサはトミサからやってきた鳩を取り次ぎ、ウラヤの人々へ配達物を配分するのが主な役目だったはずだ。そして、今後はヤミもその仕事を担うことになる。

「それに前提としてトミサを介さず、その他の村の間を行き来することは禁じられている。それをやると鳩の居所が掴めなくなっちまうからな」

 それに関しては些か疑問を覚えた。まるで何か、それらしい理由をつけて行動を制限されているような、そんな束縛感を覚えた。

「故に、ユミがテコとともに行動することはない。ユミはこのトミサとウラヤとを往復するのが仕事だ。他の村に行くことはない」


 ここでやっと、ユミに渦巻いていた引っかかりの正体が明らかとなった。

 ユミはウラヤ以外の村に行くことはない。すなわちラシノにも行くことはない。

 それは大人になったキリを、正式な形で迎えに行けないことを意味する。


「例外的に雛の終盤、お前らを俺の村へ案内することにはなる。それまでまずはみっちりトミサでお勉強だ」

 呆然とした様子のユミの耳には、もうトキの言葉は届いていなかった。


 ――――


鴛鴦文おしふみ。鳩の大事な仕事の1つだ。サイとギンは知っているよな。お? ユミも分かるのか?」

「うん。クイ……さんから……」

 一時、トキの言葉が頭を素通りしてしまっていたが、その単語を聞き取り、反応を見せる。

 トミサへの入門直前、少しだけクイから鴛鴦文の話を聞いていた。分かっているのは、それは異なる村同士で鴛鴦の契りを結ぶための物だと言うことだ。ヤミによるとウラヤとラシノとを繋ぐことも可能なはずである。

 仕事としてキリを迎えに行くことができないと分かった今、それは一筋の光の様に思えた。

 

「このイイバの地にはいくつかの村がある。この閉鎖的な村を繋ぐのが鳩の役目となるわけだが、時として人の移動をも担う」

 ユミはうんうんと頷く。ユミもキリをラシノからウラヤに移動させようとしていたのだ。それ自体は本来禁じられた愚行だったようだが、合法的に人を移動させる状況もあるに違いない。

「しかし、鳩でもないものが他の村へと移動するのは限られた条件だ。ユミのお袋さんがトミサで暮らすようになったのもその条件の1つだな。そして村の異なる者同士が鴛鴦の契りを結んだ時、一方が他方の村へ移住する。これも条件の1つだ。」

 これもクイから聞いた話である。このような話の流れで鴛鴦文についても語られていたのだ。

 

「俺には詳しいことは分からんが、近縁の者同士が鴛鴦の契りを結ぶのはあまり良いことでないらしいな」

 ヤマが似たようなことを言っていた気がする。近親の鴛鴦の間に生まれる子は、めったにかかることの無い病を発症する危険性があるのだとか。

「故に、鴛鴦の契りは他の村の者同士で結ぶのが理想的だとされている」

 少しずつユミの中で期待感が膨らんでいく。

「どうやって……ですか? 村が違えば人は出会えませんよね?」

「まあ、待て。少しずつ話してやるから」

 前のめりになったユミの発言をトキが制する。

「そこで出てくるのが鴛鴦文だ」

 ユミは鼻息を荒くする。サイとギンは既にそれを知っているためか、さも興味ありげな表情を浮かべている。

「17歳になった者は、誰とも分からない相手へ向けて文を書くことが許される。将来のに向けてな」

「誰とも……、分からない?」

 頭に疑問符を浮かべているユミを見てサイが口を挟む。

「どうだ? わくわくしないか? 顔も知らない相手と文のやり取りするんだぜ。しかも将来になるかもしれない」

「わくわく?」

 ユミにはその感覚が分からない。ユミがキリに惹かれたきっかけはソラに似ていることにあった。自然と浮かぶ優し気な表情を見て、可愛らしく感じたのだった。恐らく、顔を見ていなければキリをどうにかしようとも思わなかっただろう。


「鴛鴦文として書かれた文は、鳩の手で一度このトミサへと集約される。そしてその文が誰に渡されるか、鳩達が精査した上で他の村の誰かへと届けられる」

 鴛鴦文の原理と目的は分からなくもない。お互いに出会うことが出来ない以上、文の送り先を、ある程度知った鳩が選んでやるというのは妥当なことだろう。

「私、早く鴛鴦文を届けるのやってみたいんだよな~。鴛と鴦が惹かれ合い、幸せになる。女の子としてはその瞬間を見届けてやりたいんだよ」

「え……、女の子……?」

 意気揚々と語るサイを、ぎょっとした目でギンが見据える。

「お前……、今失礼なこと考えてるか?」

 サイは立ち上がり、ギンへとにじり寄る。

「え、いや別に……。や、やめて腕を折らないでぇええええ」

 肩を掴まれたギンの態度は、もはや煽りにしか聞こえない。

「やめてサイ! サイは女の子だよ! だって、さっき……」

 その様子を見かねたテコも腰を上げると、サイの腕を掴む。

「テコぉ。お前良い奴だなぁ」

 サイはテコを見下ろしながら、その頭をわしゃわしゃと撫でまわす。


 その輪に一人取り残されたユミは困惑する。

 自身の鴛が自分ではない鳩に選ばれてしまう。そんなことがまかり通るなら、自身が鴛鴦文を書く段となって、キリと出会うことはできるだろうか。

「あの、トキ教官? 文を送る相手は選ぶことが出来ないの……ですか?」

「ああ、送る相手はな。鴛鴦文は何回かやり取りされることになるんだが、どこかで気に入らない奴だと思ったらそこまでだ。その相手との文通は打ち切られ、別の良さそうな相手を見つけてやることになる」

 ユミは少しだけ安堵する。仮にキリがユミでない誰かと鴛鴦文を交わすことになったとしても、ユミでない相手を選ぶことはないだろう。

「おい、お前ら。席につけ。ことあるごとに暴れられたんじゃ、日が暮れちまう。仲が良いのはいいことだが……」

 サイははっとしたように、テコはやはり名残惜しそうに、自身の席へと戻っていった。


「鴛鴦文を取り扱う上で気を付けないといけないことがある。鳩が文を開いてはいけないと言うことだ」

 本日何度目だろうか。ユミはまた解せないという表情になる。

「鳩は鴛鴦文の運営に当たる。中身を見て余計なことをしたらまずいだろ?」

 余計なこと。文の加筆、修正といったことだろうか。

「それから、鴛鴦文によっての契りの成立した者達、そいつら相手に恋愛感情など抱くんじゃないぞ。……おいギン。お前に言ってんだぞ!」

「え、オレっすか?」

 ギンはさも心外といった表情を見せる。

「ああ、モテたいがために鳩になりたいと言ったな。その望みも叶うかもしれん。だからって調子に乗るなよ。さっきからユミの方ばかりちらちら見やがって」

「べべべ、別に見てないっすよ!」

 ユミが横目でギンの方を見やると、明らかに動揺している様子が分かった。不快感を覚えたユミは眉をひそめ、べーっと舌を出してやる。

 

「いいかギン。鴛鴦文に関して鳩はあくまでも運営だ。鳩から誰かに鴛鴦文を書くことはできない。その代わり自らの足で村を渡り、人と出会うことが出来る。そして出会った相手と鴛鴦の契りを結ぶことも許されている。これは鳩の特権だ。だが、鴛鴦文によって既に相手の決まった女をたらし込もうとは思うな。この行為を不義密通ふぎみっつうと呼ぶんだが、そんな事をすればナガレ送りだ。女の方もカトリへ送られることになる。鴛鴦文というのは、鳩にとってそれだけ重要なものなんだ」

 ギンを諭すような口調だ。しかし、実に言葉が刺さっていたのはユミの方であった。


 鳩は鴛鴦文を書くことが出来ない。代わりに村を渡り歩き、出会った人と鴛鴦の契りを結ぶことが出来る。

 ユミはウラヤとトミサを行き来することになる。ラシノに行くことはない。キリとは出会えない。鴛鴦の契りを結べない。


「そんなギンに朗報だ。ユミの生まれはウラヤだからな。自ずとウラヤへ行く機会が多くなるはずだ。ウラヤにはマイハって言う男なら誰しも行きたいところがあるそうだ。もちろん俺はナガラの鳩だから行けないわけだが……。どうしても我慢できなくなったら、そのマイハで働いている百舌鳥もずに相手してもらえば良い。ガハハハハハっ!」

「もー、義兄さん。最悪……」

 トキの言葉は冗談か本気か分からない。いずれにしても、愕然としたユミの耳には届いていなかった。

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