昔の話

ベル

昔話

今日、YouTubeでshort動画を見ていたら死にたい人へ「いつか死ぬために今は生きてみようよ」という内容の動画が流れてきました。コメントを見るとたくさんの人が「死にたい」「消えたい」と書いてました。

それを見て僕は昔のことを思い出しました。

僕の話を聞いてほしいです。


学生時代、僕は運動部に所属していました。とはいえ、そこまで強い部活ではありませんでした。他校と比べものにならないくらい。

それでも同学年や先輩と仲良くやっていけてたので、それで十分かなと思っていたんです。

1年生の夏休み。休憩の時間に同学年のとくに仲がいい友人に「ちょっといい?」と声をかけられました。なんだかいつもとは違うような顔色。

友人は少しみんなと離れたところに行きたい、と言われたので「トイレに行ってくる」と仲間に言い、トイレに行きました。

トイレに誰もいないことを確認した友人は、左手首に巻かれたテーピングテープを剥がし、手首を僕に見せました。

左手首には意図的にやったかのような痛々しい切り傷がたくさんあったのです。

以前、左手首のテーピングテープは捻挫をした時に巻いたものだと言っていたので、まさかその下にこんな傷が隠されていたなんて気付けませんでした。

「俺…リスカしちゃった」

そう言った友人の声がとても震えていたのが今でも覚えています。

友人は訳ありの家庭環境や成績のことでいろいろと自分を追い込んだ挙句、リスカをしてしまったということを話してくれました。

「なんでこうなる前に早く言ってくれなかったの」

なんて僕には言えませんでした。だって、友人の震えてる声を聞いてしまったから。

きっと、僕にすら話すのが怖かったんだろうなって思いました。

きっと友人も怖かったはずです。「裏切られたらどうしよう」って。

その後のことはあまり覚えていませんが、こう言ったのを覚えています。

「生きててくれてよかった」

友人が僕のことをどう思ってるかは分からないけど、僕にとってはかけがえのない大切な友人です。だから、またなにかあったら話して欲しい、解決はできないかもしれないけど話は聞けるからというようなことを言いました。

友人も目に涙を浮かべながら僕の思いを聞いてくれました。


その後、僕らは3年生になって大会の日に初戦で負けてしまい、引退しました。

ですが、途中でやめるかもしれないと言っていた友人も最後まで一緒に頑張ってくれました。

この頃には友人のリスカなどもなくなっていました。

今ではその友人とはたまに会って一緒に遊びに行ったりしています。毎年夏は一緒に海水浴に行きます。あれだけ追い詰められていた友人も、今では自分の人生をエンジョイしているように思います。とても嬉しいです。


生きることにおいて辛いことは避けられません、僕も大人になってから何回も辛い思いをしました。ですが僕は死にたいなんて思ったことはありません。

それはなぜか。頑張ってきたから?今までの努力が報われたから?

いいえ、違います。むしろ、その逆です。

僕は学生時代、全くと言っていいほど勉強をしませんでした。正しく言えば、自分からして都合が悪いこと、嫌なことから常に逃げてきたのです。

だから本当の苦しみも知らないのです。会社もたまたま自分の性格や考えに合うところに就けただけ。

楽に生きてきましたよ。僕は。

だから「死にたい」「消えたい」と思ってる人って、どれだけ辛くても目の前の嫌なことなら逃げないでいるって僕は思うんですよ。

それって本当に素晴らしくて尊敬できるなって。

だからこそ、1日でも1秒でも多く生きてほしい。

1年、10年、50年と生きてみると、以外と生きれる世界になってると思いますよ。

ただ、今自分を追い詰めているほど辛い思いをしている人に時間がかかってでも報われて欲しいのです。

最後に。

自傷行為でもなんでも、いくらでもやってください。

それをして少しでもあなたが生きれるなら、それでいいって僕は思います。

ただし、死ぬのはダメです。

いつか自分を苦しめてきた原因に大声で「ざまぁwwww」って言えるように、今は休憩しながらちょっとずつ進んでいきましょうよ。

以上、顔も知らないネットのどこかの誰かからのお願いでした。

僕に時間をくれてありがとう。

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