アヤツラレルモノ

@toomiyo

コントロールされる日常

ブウォーン ブウォーン 

俺は音を荒げ、大地を疾走していた。

瞬く間に景色が変わってゆく。 

木々からの木漏れ日を浴び、時には砂漠を走る。

こういう景色を見るのが俺の至福のひと時ってやつだ。

だが、それもつかぬ間、俺の全身に衝突音とその衝撃が走った。

キキーーーーーーーーーッ ガシャーーーーン

いってえな。また壁にぶつかってしまった。

運転手が悪いのだ。すべては彼のせいだ。

運転手は俺がくたばっちまうまで、俺を走らせる。

俺に自由に動く権利はない。ただ彼のいうことに従って前進するだけだ。

まあ、こんな衝突なんてしょっちゅうさ。俺の体なんて知ったこっちゃない。

再び運転手に心行くまで遊ばされる、俺。もう限界だ。

ブォーンブォーン 

運転手はそんな俺のことなどつゆ知らず、どんどん加速させてゆく。

砂漠の砂埃が舞い上がり、視界は全くなくなった。

運転手はどうやらこの俺にもっと過酷なことをさせたいらしい。

視界不良の中、前方に障害物を発見したが、もう遅い。

ドーーーーーン

失敗だったようだ。俺の体はまたボロボロになる。

運転手はまだあきらめていないらしく、その障害物に又俺を向かわせる。

さっきと同じように、猛スピードで。

俺は心を決めた。やるっきゃない。

俺は、一番の速度で障害物を駆け上がり、空へ舞った!!

想像以上に素晴らしいな。空からの景色は。

運転手は俺を宙に浮かせることができてだいぶん興奮しているようだ。

まあ、こんなのもたまにはいいかもしれないな。

俺は、このいつもの、危険すぎる仕事から逃れることはできない。

だからこそ、恐怖なんて振り切ってしまっている。

全ては運転手のために。

ピーピーピー

アラートが鳴った。俺は限界を超えてしまったらしい。

視界が閉ざされる。

これが俺のいつものルーティン






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