扉開けて~♪
昔からオジサンスキーを公言して憚らないモブ尾巻。若い男性にはあまり興味がありませんが、弟は例外でございます。
赤子の頃は、おんぶや抱っこで連れ回し、少し成長してからはデートや遊びに同伴させたことすらある弟大好き人間。彼氏も弟もさぞや戸惑ったことでしょう。
だからと言って、弟の彼女に意地悪するなど、以ての外でございます。実家に戻って、弟の部屋から毎回違う女性が出てきても、にこやかに挨拶してサラッと流します。
ある年、盆に帰省した時のことでございます。
ちょうど末の子がトイレトレーニング中、急に尿意を催し、かなり慌てておりました。
その時の実家は4階建ての住居兼店舗。2階事務所にあるトイレに子どもを抱えて走ります。しかし、2つあるトイレの内、両方が塞がっております。1つには父が、もう1つは誰が入っているか分かりませんでしたが、1階店舗に母上と姉上の姿はあったので、弟が入っているのだろうと思いました。
モブ尾巻、扉を激しく叩きます。
ドンドン!……シーン。
「早く出てぇぇ!漏れそうなのぉぉ!」
ドンドンドン!!
「ちょっとぉぉぉ!?まだぁぁぁ!?」
連打に次ぐ連打。焦るモブ尾巻と末っ子。いや、末っ子は抱っこされてボーッとしておりましたが、ちょうどその時、後ろから声が掛かりました。
「……何してんの?」
振り向くと、そこには呆れ顔の弟が気だるげに立っていたのでございます。
なん……だと……?
もう1つのトイレから父上が出て来たので、その場はそっちを使用しましたが、子どもの世話をする間も、隣は一体誰だったのか疑問符が浮かんで止まりません。
そうです。
賢明なる皆様ならお気づきだと思いますが、もう1つのトイレには、弟の彼女が入っていたのでございます。なんたる不覚。
トイレから出た後、怯える彼女に土下座の勢いで謝り倒したことは言うまでもありません。このことは今でも弟に弄られるネタとなっております。
……おかしなこと言ってごめんね!(アナ雪パロ)
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