風船遊び
弟が生まれる前、まだ商売は始めておらず、両親はとある会社で共に働いておりました。モブ尾巻達は家の事さえやっていれば、帰りの遅い両親を気にすることなく、ずっと遊んでいられたのでございます。
ある日、姉上が両親の部屋から、風船の詰まった箱を持ってまいりました。当時は水風船が流行っていたので「これに水を入れて遊ぼう」と、近所の遊び仲間も誘い。
普段は反目し合うモブ尾巻と姉上でしたが、悪戯をする時だけは異常に結束力が強かったように思います。
悪戯隊長の号令と共に蛇口に風船をつけて水を注ぎこみます。風船は面白いくらいに膨らみます。我々ははしゃぎながら、河川敷で水風船的当てゲームをして楽しみました。(良い子は真似をしてはいけません)
すると、その日たまたま早く仕事を終えて帰って来た母上に見つかってしまいます。全身に怒気をみなぎらせ、顔中が真っ赤に染まるほど怒り狂っております。
たしかに、勝手に風船を持ち出したのは良くなかったでしょう。でも、そんなに怒らなくてもいいではありませんか。
たかが子どもの無邪気な悪戯でございますよ。
母上の怒りを恐れたモブ尾巻は、真っ向からぶつかる姉上を生贄に、忍びの如く雲隠れいたしました。そして、ポケットに入れたままだった風船の残りで、川の浅瀬でメダカなどを獲って遊びながら、母上の怒りが鎮まるのを待ちました。
姉上は散々叱られて、土手に投げつけた風船の残骸を回収させられたと、
それから数年。
成長したモブ尾巻は、はたと気づきました。あれは「
母上は怒り半分、羞恥半分で顔を染めていたのでございます。ああ、本当に申し訳ないことをした。大人の事情に気づいてしまったモブ尾巻は深く深く反省いたしました。
でも、そのお陰で弟が生まれたことは、
……ごめん、冗談だって。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます