モブ鳥落とすイキオイ

チンピラくんと真面目ちゃん

　どこかで書いたような気のするタイトルでございます。

　それはさておき。

　両親の出会いは高校生の時と聞いております。

　7人兄弟の末から2番目、次男。女系の強く逞しい女性達に揉まれ育った父上は、堅実であれという姉達の忠告を無視して、高校生の頃から自立して1人暮らしをしていたそうでございます。

　しかし、人を喰ったような尖った言動は悪い仲間も招きます。何かあれば父上のせいにされ、校内ではチンピラ集団の長として、先生方に目をつけられておりました。

　一方、母上は昔から超がつくほどの真面目。豪快な祖母は3度結婚しましたが、子どもは母1人。父親が変わるたび苦労していましたが、グレることもなく、世間に後ろ指差されぬよう、成績も優秀、家計を助けながら健気に生きておりました。

　同じ高校、同じバイト先の先輩と後輩。チンピラくんと真面目ちゃん。まるで少女漫画のような出会い……だったかどうかは存じませんが、大人しげに見えて気の強い母上を、父上は「フッ、おもしれー女」と思ったのかもしれません。

　母上を気に入った父上は、当時付き合っていた年上の彼女と別れ、追い回します。最初は自由すぎる言動の不良に絡まれ逃げ回っていた母上ですが、とうとう絆されたのか根負けしたのか、2人は付き合うことになったようです。

　写真家を志していた父上ですが、お腹に姉上が宿ったと知るや、都会から舞い戻り即行で結婚したそうでございます。1人娘だった母上の事情を考慮し、継ぐ家もない次男ということで、あっさり婿養子に収まりました。

　時に気性の激しい母上が喧嘩を吹っかけることはございますが、女性の恐ろしさを幼い頃から知る父上は、基本、のらりくらりと逃げ回ります。

　ツンデレ9:1で思い切りのよい母上。どれだけ振り回されようが、別れず今も仲良く暮らしているということは、そこに愛と絆があるからかもしれません。

……知らんけど。