Yes,Mom!
叙情的な
それというのも、自由すぎる少年のような父上は、気まぐれに数ヶ月家を空けることも多く、母上は3人の子、その他の人間の生活を守るために馬車馬のごとく働き、家庭内の指揮系統は簡潔にせねばならなかったからです。
人間を含む動物を気軽に拾ってくる父上は、思い付きで行動してあとは家族に丸投げということも。忙しい母上に代わり、幼いモブ尾巻たちは、家庭内の仕事を一手に引き受けておりました。
あのね、えっとね、きょう学校でね。
そのような子どもらしい物言いを許された記憶がほぼございません。
結論を。
その一言に従い「お金ください。学校で使うノートが必要です」と用件のみを告げ。
愛情がないとは全く思いません。ただ、本当に忙しかっただけなのです。むしろ、自立の妨げにならないタイミングで、的確に手を差し伸べる指導には感謝しかございません。
これはその後の人生に於いても、大変役に立つ実践的なコミュニケーション術でございました。
実用書とナポレオン・ヒルの「成功哲学」をバイブルに、遣り手の営業マンとしてバリバリ仕事をしていた母上。よく家中に偉人の名言などの貼り紙をして、自分や家族を鼓舞しておりました。
トイレのドアの内側に貼られたYes,We canなプロパガンダを眺め、個室の中ですら気が休まらないモブ尾巻は、時々ひっそりとツッコむのです。
……大統領選か!
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