A.C.クラークの「遥かなる地球の歌」では「冷凍受精卵子とロボットを送り込んで人類文明を築いた惑星」が舞台となっていますが、「人間の親を持たない世代から、人間の親を持つ世代への移り変わった大混乱時代の記録は敢えて抹消されている」とありました。
本作を読むとクラークが短く記した「悪夢のような大混乱時代」との対比に心が温かくなります。
もちろんクラークの「遥かなる地球の歌」を読む必要などありません。
本作だけで楽しめる作品になっています。
生物的な親子関係が失われる過程がどんなものだったのか、それを取り戻した主人公の今後はどうなるのか。
書かれざる部分まで含めて楽しめます。