生きた証と襲撃

「スカイさん、最高さいこうのおもてなしをありがとうございました。それでは僕達はここで失礼します。

 これからも経営けいえい頑張がんばってくださいね! 応援おうえんしています!!」


「そんな、とんでもない! オレのおもびとであるフランメ様のご両親りょうしんをお世話せわできて感無量かんむりょうです!! 旅の最中さいちゅうにフランメ様と会ったらスカイは何時いつでもっていますと伝えてください!!! おねがいします!!!!」


「へぇ、アンタみたいなしっかりしてるヤツがれているってことはフランメはいい女なんだな。

 少し会うのが楽しみになったよ、ありがとうな!! フランメにもし会えたらスカイのうとおりにつたえておくぜ!!! またな!!!!」


「はい! また機会きかいがあれば草津くさつってください!! っています!!!」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093082989211824


 デュラン達は草津の湯の入り口でっているスカイの見送みおくりを旅立たびだつと、ふたたびスミス王国を目指めざして修行をしながら歩き出した。

 そして太陽たいよう天頂てんちょう通過つうかするタイミングでスミス王国に辿たどき、デュランのかつての親友しんゆうであるルイスとノアの墓参はかまいりを全員ぜんいんでした後。

 デュランは「わるいんだけどよ、ちょっとの間だけでいいから1人きりにしてくれないか。2人と話したいことがあるんだ」と無理むりって一人きりにしてもらった。


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093082995867636


 そしてルイスとノアが人生じんせいいたあかしであるスミス王国をすこしのあいだ見渡みわたしてから、今は冥界めいかいにいるだろう2人へかたりかけはじめた。

 

「……よう2人とも。お前らよりも早死はやじにした俺がお前らの墓参りをするなんてな、なんかへんkんじだ。

 ヴィンデが言うには俺は冥界めいかいたましいあらわれず、カオス? とかいうヤツに転生てんせいさせられたらしい。おまけにこの世界で起こっていたすべての事件じけん災害さいがいはそのクソ野郎やろう黒幕くろまくとしてうらいといていたらしい、ムカつくよな」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093083048586380


「お前らぶんりも俺がキッチリ百倍ひゃくばいにしてかえしてやるからよ、俺の闘いを応援おうえんしてくれたらうれしい。

 まあ、もしも俺が負けたら冥界めいかい一杯いっぱいやろうぜ――なんてな。

 俺のつよさはってるだろ、この国もふくめてお前らの大切たいせつなものは全部ぜんぶ俺がまもってやるから安心あんしんしとけ。そんじゃあまたな、ダチこう


 デュランは1人での墓参りをわらせてアリス達と合流ごうりゅうしてから登城とうじょうし、スミス王国の国王へ結婚式けっこんしき招待状しょうたいじょうわたしてから事情じじょう説明せつめいして協力きょうろくると二人のまごであるルイズとメディスンへ会いに行った。

 あらかじ写真しゃしんで目にしていたとおりルイズとメディスンはデュランの親友であるルイス達のうつしであり、もしかしたら本当ほんとうに2人の生まれ変わりなのかもしれないと思ってデュランは少しうれしかった。


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093083053393617


「おいおい、なんで俺達を見ながら笑っているんだよ剣神様けんじんさま

 俺も変革の剣神は愛読あいどくしてるしヘルト様から連絡れんらくけてっから理由りゆう見当けんとうがつくけどさ、初対面しょたいめんでそれは失礼しつれいだと思うぜ。なんかへんなことをってるか?」


「……いや、言ってないよ。すまない、初対面で失礼しつれいなことをしてしまって。

 俺の名前はデュラン――デュラン・クラインハルトだ、これからよろしくたのむ」


「分かった、俺の名前はルイズ! これからよろしくな、デュラン!! ……だけど小さいクライン強いハルトか、なんかまるでデュランが今みたいに転生てんせいすることが分かっていた誰かがこの名字みょうじを目にしてクラインハルトを転生先にしたみたいで変な感じだな!!! けど今のデュランにっててとてもいいと思うぜ!!!!」


「……そうか、めてくれてありがとう」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093083053541241


 デュランはおそらくルイズの言うとおりの理由でカオスがクラインハルト家を転生先としてえらんだのだと理解りかいして一瞬いっしゅん真顔まがおになってしまったが、今はルイズ達と話しているのだからとすぐに表情ひょうじょうつくろった。

 そのまましばらくの間ルイズと会話していたが、いい加減かげんルイズの背後はいごかくれているメディスンと話したかったので彼へ視線を向けながら「なあメディスンくん、俺のことがきらいじゃなければ少しだけ話してくれないかな? 何もしないからさ」とかたりかけた。


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093083054024786


「――あぅ」


「ウエェッ! 大丈夫かメディスンッ!! 空狐くうこ!!! 今すぐ見てくれ!!!!」


 するとメディスンは少しの間彫像ちょうぞうのようにかたまっていたかと思ったら小さいうめごえを上げてから気絶きぜつしてたおれたので、デュランは超速ちょうそく移動いどうして彼をとどめ。布団一式ふとんいっしきつくり出してからそこへメディスンをかせた。


「メディスンはどうしたんだ!! 何かの病気びょうきなのか空狐くうこ!!! 教えてくれ!!!!」


「……ただの失神しっしんですね、あわてなくても大丈夫ですよデュラン殿どの


「――えぇっ、マジで? 本当に??」


「悪いなデュラン! メディスンは少しコミュしょうでな!! いつもこうなんだぜ!!!」


「……マジでそんな人間いるんだ、カカポかよ」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093083057166061


 デュランはメディスンのあまりの貧弱ひんじゃくさに天敵てんてきのいない絶海ぜっかい孤島ことうらしていたため、かよわ警戒心けいいかいしんうすいカカポを連想れんそうしてそうったが。カカポは気絶きぜつしないのでカカポ以下いかだなと結論けつろんを出した。

 思わずため息をついてからデュランはルイズへ事情じじょう説明せつめいし、メディスンと2人で少数精鋭しょうすうせいえい特殊とくしゅ部隊ぶたいはいってしいと伝えた。


「うん? メディスンはこんな調子ちょうしだがいいのか、やくたないかもれないぞデュラン??」


「べつに役に立たなくてもいいよ。俺があいつらのまごを守りたいかられたいのもあるからな。

 守るものが彼方此方あちこちにあったらやりづらいんだよ、俺が。だから2人にはできれば部隊へはいって欲しいんだよ」


「おう! そういうことならかまわないぞ!! メディスンには俺からっとくから安心あんしんしてくれ!!!」


「あぁ、よろしくたのんだ。俺達は三日ほどスミス王国へ滞在たいざいする予定よていだから、そのあいだ準備じゅんびませてくれ――じゃあまた三日後にくる」


 デュラン達とルイズはそう会話かいわしてからわかれ、約束の三日後までそれぞれ準備していた。

 だが約束の三日後、スミス王国をグレイトアウルという巨大なフクロウが襲撃しゅうげきした。


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093083032739821


 アリスが襲撃前しゅうげきまえに気がついてスミス王国全体ぜんたい結界けっかいおおい、なんとかグレイトアウルからまもったが不可解ふかかい状況じょうきょうだった。

 本来ほんらいならばグレイトアウルは人類じんるい生活圏せいかつけんへ入ってくることのない温厚おんこう性格せいかくで、執拗しつように結界を攻撃こうげきつづけるようなことはしない。

 つまり――


「……密猟者みつりょうしゃだな、グレイトアウルの子供にしたな。

 何処どこのどいつからねぇが! とっつかまえてグレイトアウルのえさにしてやる!! くぞアリス!!!」


「うん!! 密猟者は絶対ぜったいゆるさないんだから!!!」


 ――人類じんるいがグレイトアウルへさきに手を出したということだ。

 そのことに気がついたデュランとアリスは親友しんゆうの国をんだことにいかりながらしていった。


「……づくり?」


 ……バケモノ夫婦ふうふがブチれてしまったので、つるぎうとおりの結末けつまつになりそうである。なんまんだぶ、なんまんだぶ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る