非道なる一族と対峙

https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093083059043443


 ヴァイス・フラワー。

 それは長年ながねんグレイトアウラやそのたまご狩猟しゅしょうすることで生計せいけいを立ててきた一族いちぞくであり、グレイトアウルが絶滅危惧種ぜつめつきぐしゅ指定していされて狩猟が禁止きんしされた後も商人しょうにんの国であるドライ王国をふくめた一部いちぶの国ではわらずグレイトアウルをかいってもらうことができたので今でもむかしらしを続けていた。

 ちなみにヴァイス・フラワーというのは一族全員が共通きょうつうして名乗なのる名前であり、彼らにとってはほこりそのものである。

 彼らはこれまでもこの先もこの生活せいかつを続けていくと思っていたし、自分達がほろぼされるがわまわるなんて考えたこともなかった。

 だが――


『見つけたぞ悪党共あくとうども! オレはお前達悪党のてき!! そしてしいたげられる者達ものたち味方みかた!!!』


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093076254257011


剣帝けんていフランメ・ライオット!! これ以上いじょう悪事あくじはオレがゆるさんぞ!!! ヴァイス・フラワー!!!!』


 ――そんな彼らにも年貢ねんぐおさどきがやってきた。


 あくてきであるフランメにアジトへカチコミをかけられて1000人もいた一族ののこりはわずか6人のみ、どう考えてもヴァイス・フラワーの滅亡めつぼうけようがなかった。

 何よりも一族をたった1人でここまでんだフランメのことがおそろしくてしょうがなかった5人はヴァイス・フラワーの名前をてて生きていく決意けついをし、1から更生こうせいして頑張がんばったので後々のちのちフランメに見つかったがいのちられなかった。


「――クソッ、フランメ・ライオットめ!! 絶対ぜったいゆるさんぞォォッッッ!!!!」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093083088258185


 一族の中でフルールとばれていたこの女性だけはフランメへの復讐ふくしゅうちかい、ヴァイス・フラワーの最後さいご血族けつぞくとして運命うんめい反旗はんきひるがえした。

 だがフランメへ正面しょうめんからいどんだところで絶対にてないことを理解りかいしていたヴァイスはいちばちかでグレイトアウルの侵入しんにゅうし、グレイトアウルの幼体ようたい誘拐ゆうかいすることに成功せいこうした。


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093083059487674


 グレイトアウルは愛情深あいじょうぶかい生き物であり、一万個いちまんこもあるたまごを一つぬすんだだけでてまで下手人げしゅにんいかける生態せいたいをしている。

 なのでグレイトアウルの幼体を誘拐してもわりわないからめるようヴァイスはおしえられてそだったが、もう仲間なかまであり家族かぞくでもあった一族はほろんだのだからったことではなかった。

 そしてフランメの父親であるデュランの親友しんゆう建国けんこくした国をグレイトアウルへ攻撃こうげきさせて滅ぼすため、ヴァイスはグレイトアウルの幼体をれたままスミス王国に侵入しんにゅうし。たかみの見物けんぶつをしていたのだが、ここで予想外よそうがい自体じたいこった。


「なんだこの結界は!! クソッタレガァッ!!!」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093083064210453


 スミス王国全体ぜんたい半透明はんとうめい結界けっかいおおい、グレイトアウルの攻撃から都市としまもったのだ。

 ヴァイスはだれが結界を使つかったのかからなかったが、グレイトアウルを直接攻撃ちょくせつこうげきしなかったため。その生態せいたいっている人物であることは分かった。

 そのためすぐにフランメからげるときにも使ったパスポートで裏世界うらせかいへ逃げようとした。

 しかし――


刹那せつな一条いちじょう――紫電しでんッ!!」


なにィッ!? ――グワァッ!!!」


 ――一条いちじょう雷光らいこうかれて失敗しっぱいした。


 ヴァイスにとって不運ふうんだったのはその雷光の正体しょうたいがデュランであり、過去かこ空間くうかん干渉かんしょうするてきたたった経験けいけんがあったためその行動こうどう逆探知ぎゃくたんちされてしまったことだろう。

 現代では魔王達は全滅ぜんめつしているためそんな芸当げいとうができる人物はデュランとその弟子でし達しかいない、その知識ちしき不足ぶそくがヴァイスのいのちうばった。

 ……結果論けっかろんだけど普通ふつうはしって逃げた方がよかったな、他の人間の気配けはいじってへかくれられた可能性かのうせいたかかった。まあそれはそれとしてざまぁっ! たっぷりくるしんでからね!!







「クソ野郎やろうが!! 地獄じごくちろ!!!

 ……グレイトアウルのえさにするには服が邪魔じゃまだな、るか」


「デュラン! こんな人の服を斬らされるなんて天晴てんせいちゃんが可哀想かわいそう!! 僕ががすから少し待ってて!!!」


「分かったアリス、まかせた。

 ――俺と同じ人族じんぞく迷惑めいわくをかけたな、おびになるか分からねぇが。これでもっててくれ、お前の母ちゃんをめてくるからよ」


「ホー?」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093083091792087


 デュランはグレイトアウルの赤ちゃんにお詫びとして巨大なにくかたまりを創り出してプレゼントしてからグレイトアウル目がけてがり、その体へ掌底しょうていたたんで意識いしきうばった。

 そうして一時的いちじてき気絶きぜつしたグレイトアウルの体をあらかじしていたスペースドラゴンがめてからゆっくりと地上へろした後、デュランは結界を攻撃し続けたことでヒビれているつめ以外外傷がいしょうがないことを確認かくにんし。爪のヒビ割れをなおしてやってからアリス達をびに行った。


「ホーホー!?」


心配しんぱいしなくて大丈夫だいじょうぶだ、お前の母ちゃんをころしやしねぇよ」


「ホーホ?」


「あぁ、うそじゃねぇよ。母親が目覚めざめるまで近くにいてやりな」


「ホー!!」


 デュランがそう言うとグレイトアウルの赤ちゃんは母親のそばすわみ、そわそわしながら母親が起きるのを待った。

 その光景こうけいを目にしたデュランはヴァイスの死体したいなおり、やっぱりグレイトアウル達のえさにする価値かちもないなと思い。その死体を塵一つちりひとつのこさずばした。


「ホォ!! ホーホー!!!」


「ホォ? ホーホー??」


「ホーホ!」


「ホー、ホーホー!」


 どういう会話かいわがあったのからないが少しの間話していたグレイトアウルの親子は何かを決断けつだんしたようで、母親はデュラン達へ頭を下げてから赤ちゃんをいてっていった。

 デュランはその光景を目にしてグレイトアウルの赤ちゃんが母親から巣立すだったことをさとり、ためいきを吐いてから一応赤ちゃんへその意思いしを確認するため話しかけた。


「……お前、母親と一緒いっしょかえらなくてよかったのか? もう二度にどとえないかもれないぜ。いいのか??」


「ホーホ! ホーホー!!」


「ハァッ、意思はかたいか。それじゃあこれからよろしくな、どれくらいいるからねぇけどしっかりそだててやるよ」


「ホー! ホーホ!!」


 デュランはそう言ってからグレイトアウルの赤ちゃん――後にオーブと名付なづけた――と一緒にアリス達の元へ行き、オーブが旅の一員へくわわったことを報告した。

 アリス以外はメチャクチャおどろいていたがなんだかんだ受け入れられ、ルイズ達と合流ごうりゅうしてからスミス王国を旅立たびだった。

 そしてこのメンバーで各地を旅しながら仲間を増やし――二年の月日が流れた。


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093077536469453


 デュラン達は最後の国であるフォレスト王国の王であるクラウンの元をおとずれ、いつも通り結婚式けっこんしき招待状しょうたいじょうわたしてから事情じじょう説明せつめいしてその協力きょうりょくを取り付けた。

 その後デュランはアリス達へ少しクラウンと2人で話したいことがあるから先に宿やどかえるよういい、全員ぜんいんが帰ったのを確認かくにんしてクラウンと二人きりになってから天晴の鯉口を・・・・・・切った・・・


「お久しぶりでござるなデュラン殿どのww、フォレスト王国へようこそでござるよww。それではいと2人で話したいことってなんでござるかww、なんでも答えちゃうでござるよww」


「そうか、じゃあ単刀直入たんとうちょくにゅううけどよ――お前がカオス・・・・・・とか言うクソ・・・・・・野郎だろう?・・・・・・ 殺してもいい・・・・・・か??・・・


「な、なんのことでござるかww、こわいでござるよデュラン殿ww――と我が輩としては言いたいのだが、どうやら確信かくしんしているようだな。

 やはりヴィンデに情報じょうほうしゃべらせるとこうなるか、まあ分かっていたことだが。

 答えはイエスだ、れるのならばってみるがいい」


「――ッ!!? なるほど、たしかにつよいな。まだ絶対に勝てないから今回はめとくわ」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16817330667987422890


 デュランは本気ほんき殺気さっきけてきたクラウン――いや、カオスへたいしてそう軽口かるくちたたいてからその場をろうとしたが、あしなまりのようにおもくあまり動かなかった。

 だがそれらを一切いっさいおもてさず、黙々もくもくと歩き続けた。


「フフフッ、殺気だけとは言え本気だったのだがな。流石さすが剣神けんじんだ、恐怖きょうふつぶされないとはな。

 ――ゆえ褒美ほうびをやろう、れ」


「――ッ!」


『カウントスタート!』


 デュランはカオスが何かをしようとしていることに気がつくとすぐにアクセルブースターのボタンを押し、天下てんか無双むそうを――


『リミットオーバー!』


なにッ!?」


 ――使えなかった・・・・・・

 そのことにおどろいて体のバランスをくずし、たおれそうになったが。気がつくとフォレスト王国でまっている宿やどの前に立っていた。


「……はははっ、これはちょっとワクワクしねぇなぁ」


 デュランは思わずそうぼやきながらその場へすわみ、敗北はいぼくめながらリベンジをちかった。

 ……反骨精神はんこつせいしんかたまりかな?

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 ちなみにオーブはメスです、やっぱりたらしですねぇ(笑)

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