第39話 大団円。悪は共倒れになった!

「よいか、エリオット、クレア。スカルブラッド盗賊団を操っていたのは、ウォルト個人だ。アルカンシア王国ではない。ゆえに罪はウォルト以外の誰にも及ばない。罪人は薬で自滅した。それでこの話は終わりだ」


 対外的には、さっき言ったように『父上は病気のため姉上に王位を譲って、療養しに山奥に行った』ということにする。


 国民はその発表を喜びと共に受け入れた。

 姉上は即位と同時に、放置されていた橋の工事再開とか、閉鎖されていた市民図書館の解放とか、酒税の引き下げとかを発表した。

 すると王都のそこら中でクレア女王を讃える歓喜が湧き上がった。


 それと、教皇の手によって戴冠したというのも熱狂を生む。

 普通、教皇が自ら王冠を被せるというのは、新しい王家が誕生するときだ。それ以外の戴冠式は、枢機卿とか司教といった高位神官によってなされる。

 なのにクレア王女の誕生に、教皇がわざわざ立ち合った。

 教皇国との強い繋がりを、国の内外にアピールできたわけだ。


 俺は姉上の女王就任を見届けたら、自分の国に帰る予定だった。

 しかし姉上の強い勧めで、一泊することにした。

 久しぶりに王宮の自分の部屋に泊まる。

 父上のいない実家は、実に快適だ。


「王宮でえっちするのは初めてですね、エリオット様」


「ぬふふ。やはり実家でするのは背徳感があるものか?」


 俺の部屋に当然のように、ニーニャとラドニーラが入ってくる。


「しないよ」


 毅然と言ってやった。すると二人は目を点にする。


「「は?」」


「は、じゃないよ。するわけないでしょ。ここには姉上もいるんだよ。万が一、声を聞かれたらどうするんだよ。部屋は別々にする。ほら、早く出ていって」


 俺は二人の背中を押して廊下に突き出す。

 ふぅ。これでよし。

 けれど安心はできない。

 不意に忍び込んできて襲ってくる可能性がある。しばらく寝ないで警戒していよう。


        △


 ニーニャは王宮で働いていた頃の自室に戻った。そしてラドニーラと二人で時間を潰す。


「そろそろエリオット様も油断しているでしょう」


「くふふ。行くとするか」


 二人とも王宮えっちを諦めていない。拒まれると余計燃え上がる。

 こそこそとエリオットの部屋に向かう。

 その途中、教皇と、それからケイシー・アップルヤードとバッタリ出会った。


「……なぜお二人がこんな夜中に廊下を歩いているのですか?」


「ふん。夜風に当たれとの神託が下ってな。それでエリオットを誘おうと思ってだな……」


「わ、わたくしは、クレア様の戴冠式を間近で見る機会をいただき、その上、王宮に宿泊させてもらって、とても感激しましたの! ですからエリオット様に感謝を伝えようと思い立ったのですわ!」


「変な言い逃れをせず、夜這いしに行くと素直に言えば仲間に入れてあげますのに」


「「夜這いしに行く!」」


「はい。では、みんなでエリオット様とえっちしましょう」


 ニーニャがそう宣言し、それ以外の面子が「おーっ」と拳を振り上げた瞬間。

 異常な気配が広がった。

 ニーニャでさえ戦慄を覚える。

 剣技や腕力ではどうにもできない、圧倒的なものに捕らえられたという実感が走り抜ける。


「これは、聖女の結界!? いかん、見えない壁がある……閉じ込められた!」


 教皇が叫ぶ。


「そんな! 聖女の結界は悪しきものだけに反応するはず……なぜ私たちが閉じ込められるのですかっ?」


 ニーニャは珍しく狼狽する。

 幼いエリオットを集団で襲おうと考えている自分たちが邪悪な存在だという自覚がないのだ。


 そして廊下の暗闇の奥から、カツンカツンと足音が近づいてくる。


「クレア様……な、なぜ結界に私たちを閉じ込めるのでしょうか?」


「なぜ? ふふふ……ニーニャにしてはつまらない質問です。説明が必要ですか? 以前に見た動画……私の見間違いであればいいと何度も思っていましたが、やはり本物だったのですね。私の可愛いエリオットとえっちしちゃったんですね! 私は血が繋がっているから我慢していたのに!」


「ク、クレア様もご一緒にどうですか……?」


「黙りなさい! 私はあの子の姉です。歯を食いしばって我慢します……しかし! あなたたちがエリオットとえっちするのは羨ましいので全力で妨害します! 相手が教皇だろうと精霊だろうと遠慮しません! エリオットとえっちしたあなたたちを犯せば、間接的にエリオットを犯した気分になれるかもしれませんし!」


「くっ……恐ろしい気迫です! 全力で押し通ります!」


 結界の中で、激しい戦いが始まった――。


        △


「ん~~、朝だ。穏やかな目覚めだ。結局、ニーニャもラドニーラも来なかったな。毎晩こうだと助かるんだけどなぁ」


 廊下に出ると、なぜか姉上とニーニャとラドニーラとケイシーと教皇が半死半生で横たわっていた。

 な、なにがあったんだ!?

 ……まあ、俺が巻き込まれなかったから、とにかくよし!


――――――――――――――――

とりあえず完結です。

ここまで読んで頂きありがとうございました!




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追放されたけど万能クラフト能力で建物も武器も作りたい放題だから最強領地を作る 年中麦茶太郎 @mugityatarou

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