第7章 玲サンは修羅に堕ちたと言う
日曜日、日の落ちたテラスには生暖かい風が吹いていた。熱帯夜とまではいかないが、ずいぶんと熱をはらんだ風だ。この分だと夏の訪れは早そうだなと俺は思った。それなりに厳しい暑さが、今日の昼も猛威をふるっていたはずだ。
俺は、一昨日見たサイトを参考に、シンプルな黒のチノパンと、白の細いストライプのシャツ(ストライプは薄い焦げ茶色)、薄手の明るいグレーのジャケット、足元は白のスニーカーをチョイスした。これで少しは『オトナ爽やか』と呼ばれる雰囲気を醸し出せたのではないかと自負している。
玲サンはクラシカルなキャメルブラウンのサマーニットワンピースで現れた。40代女性としては標準的と言っていいのかもしれない服装だが、玲サンにはよく似合っていた。
俺たちは眺めのいいテラス席に陣取り、食事やワインをめいめいに頼んで、世間話なんかをしつつ食べた。俺は緊張で料理の味はマトモに感じられなかったが、なんとか世間話に応じた。どうやら、玲サンはミオをそれなりに気に入っているらしい。そこも、ミオの謎のひとつだ。ミオはあれだけ男性関係にだらしないにも関わらず、女性から好かれるのだ。俺たちはミオの話でしばらく盛り上がった。俺はさりげなく、ミオは彼女ではないし、今までも俺の彼女だったことはないという点を強調した。
その次に、俺が休んでた理由について聞かれたので、俺はかなり困った。謹慎中だと答えたが、なんで謹慎になったのか突っ込まれ、俺は苦し紛れに「樫尾の指名したキャバ嬢が俺にそっくりで、酔っ払った樫尾がそのキャバ嬢と間違えて俺にセクハラし、キレた俺が樫尾を殴った」と説明した。玲サンはこの話がツボに入ったらしく、しばらくクスクスと笑っていた。よし、玲サンも次第に心を開いてくれてるんじゃないか? 俺は自信を持ち始めた。
その後、俺と玲サンはだいたい満腹になってきたので、追加で酒だけを頼んだ。俺はシングルモルトウイスキーのロック、玲サンはキティを頼んだ。酒はすぐに運ばれてきた。
静まり返ったテラスに、グラスの中の氷が揺れるからんという音がやけに大きく響く。聞くなら今だろう。
俺はおずおずと口火を切った。
「玲サンって、一年くらい
「あら、誰から聞いたのかしら。でも、そうよ」
樫尾から聞いた情報だ。そのせいで一件分、タダ働きさせられる予定だが。誰から聞いたかという所には答えず、俺は更に聞いた。
「なんでまた、このギョーカイに戻ってきたんですか?」
「……聞きたい? 聞いたら、後悔するかもしれないけれど。特に、あなたみたいな──」
玲サンは一瞬言葉を探した。
「まだずっと詐欺を続ける予定のひとには」
俺はごくり、と喉が鳴ったのを感じた。でも、ここで引くわけにはいかない。
「聞かせてください」
「……そう。責任は負わないからね」
玲サンはグラスを傾け、一口キティを飲むと、息をついて話し始めた。
「戻ってきたのは、復讐のためよ」
「……復讐、ですか」
「私が前にもこの業界にいたことは知ってたわね。その理由は知ってる?」
「……いえ」
「生活苦よ」
「……」
「察しはついてるみたいね。その通り。夫が死んだせい。貧乏人ほど、犯罪に引き込まれるものよね。あなたはそういう具体例をいくつも見たことがあるんでしょ」
頷いた。俺は知っている。樫尾が採用活動の対象として選ぶのは、債務不履行に陥った、社会のどん底にいる弱者だ。たとえばサルはまさしく、その典型例と言える。
「夫は私にはもったいないくらい、いい人だった。堅実な銀行員で、少々頭は固かったけど、根はただただ優しい人だったわ。
私は彼と2年付き合った後に結婚した。職場結婚だったの。寿退社してすぐに、息子がお腹に宿った。私はこれからの生活に、馬鹿みたいに胸を弾ませていた」
俺は若干の胸の痛みを感じた。玲サンが夫の事をとても大事に思っていたことが、その遠い目から感じ取れたから。
しかし次の瞬間、玲サンの目に憎しみの色が宿った。
「でも、私はすぐに地獄に叩き落とされることになった。ある日突然、夫が刺されて死んだの。犯人は夫が融資を断った会社の社員。夫には落ち度は無かった。無理な融資を頼んできたのはあっちだったのに……」
「私は絶望にどっぷり頭まで浸かった。何度も死のうと思ったわ。練炭を買ったりもした。それでも、自殺をなんとか思いとどまったのは、お腹にいる息子の存在があったから」
「私は実家に戻った。夫の生命保険で、息子が幼稚園を出る頃までは生活はなんとかなってた。でも、子供を育てるってすごくお金がかかるの。パートをしながら育児しても、家計はすぐ苦しくなった。これからの学費のことを考えたら、気が気じゃなかったわ。私は時々サラ金に手を出すようになって、だんだん首が回らなくなっていった」
「そんな時、保育園のママ友が、割のいいバイトがあるって紹介してくれた。それが、前の職場」
つまり、前いた詐欺グループ、ということだ。玲サンは少しばつが悪そうに言った。
「私だって最初は抵抗があったのよ。その時はまだ、倫理観を失ってた訳じゃなかった。でも、私みたいな学歴もろくにない子持ちの女が、あの時代に高給をとれるのはそんな所くらいだったの」
「そんじょそこらの普通のパートじゃ生活は良くならないことは頭の悪い私にも分かってた。ちょっとやそっとの稼ぎじゃ、息子を大学にはやれない」
「私は自分から修羅の道へと入ったの。息子のためにね」
俺は黙って聞いていた。玲サンは俺みたいな最初っからアウトローな人間とは違ったんだ。覚悟して、犯罪に手を染めることを選んだ。
玲サンは、ため息をつくと、額を押さえた。
「でも、それも結局は無駄だった。悪いことって、やっぱりするもんじゃないのね。私の悲劇はこの程度じゃ終わらなかったのよ」
「私は、周囲や息子にはコールセンターに勤めてるって、ずーっと嘘をついてた。息子は露ほども私を疑うことなく、立派に大学を出て、上手いこと大手の会社の総務課に入って独り立ちして、トントン拍子に結婚した。本当に、私なんかよりずっと出来た息子だった。夫の血が濃かったのね」
「お嫁さんはちょっとボーッとした所のある子ではあったけど、純粋で愛嬌のある可愛らしい子だった」
「私はもちろん、その子にも嘘をついてたわ。『コールセンターにずっと勤めてるんです』ってね。あろうことか、彼女は女手一つで息子を育て上げた私を尊敬してくれてた。彼女も息子と同じく、私の裏の顔なんて何ひとつとして知らなかった」
玲サンはそこで一旦言葉を切り、昔を思い出すように宙に視線を送った。俺はその間にウイスキーで胃を潤した。玲サンは脚を優雅に組み換えて、話を続けた。
「そう、それは私も気づかないうちに起きたことだった。私はいつも通り先輩の『山本亜子』から電話番号のリストをもらって、上から順番に電話をかけていった」
俺はハッとした。山本亜子。ここでその名前が出てくるのか。樫尾でさえ敬遠する程のとんでもない魔性。
「私はね、その内の一件から、かなりの大金の巻き上げに成功したの。4桁いってた」
俺は目を見開き、口笛を吹いた。1000万は下らないということだ。俺も結構な期間今のグループにいるが、なかなか無い事だ。
玲サンは俺の反応をじっくり眺めながら、ゆっくりと言った。
「私、その時、『やった』って、そう思ったのよ。その後も一日中、気分が良かったわ。営業のひとが営業成績が上がった時と、全く同じように」
「あなたなら、その時の私の気持ち、分かるでしょう」
俺は頷いた。分かる。今のグループでそんなことがあったら、多分祝杯の一つや二つ上げるんじゃないだろうか。俺が上手いこと個人情報をクラッキングでかすめ取った時の興奮とも、そんなに違わないだろう。
「その日の晩、息子の嫁のところに、嫁の祖母から電話がかかってきたの。
「『詐欺に遭った』ってね」
「それを知ったとき、私は心臓が止まりそうになったわ。偶然であれ、私と関係無い事件であれと何度も願った。でもそうじゃないって事はすぐに分かった。後で確認したら、個人情報リストの電話番号と、息子から教えてもらった嫁の祖母の電話番号は一致した」
「……」
俺は驚いた。そんなこと、あるんだろうか。自分の知り合いが、詐欺の対象になるなんてことが。俺の知る限りでは聞いたことがない。知り合いはできるだけ対象から外すのが、暗黙のルールだと思っていた。でも……確かに息子の嫁の祖母くらいの繋がりとなると、把握は難しいかもしれない。
「それから、嫁の祖母は自分を責めるようになって、だんだん神経が参っていった。1000万以上も騙し取られたんだから、まあ当然と言えば当然よね。息子も嫁も頑張って励ましてたけど、憔悴が激しくて」
「1ヶ月後に帰らぬ人になったわ」
「私はね、その時はすごくホッとしてた。ずっと怯えてたから。万が一、嫁の祖母に私が会ったり、声を聞かれたりしたら、全てが水の泡だもの。だからその頃はいつも家の電話には出ないようにしてた。コールセンターで職業病になったからプライベートの電話は嫌いなんだって、嘘ついて」
「でも息子は思ったよりもずっと頭が良かったの。嫁の祖母から大金を巻き上げた相手が許せなかった息子は、似た手口にやられた人を集めて被害者の会を立ち上げて、ついに私のいる詐欺グループの電話番号を突き止めちゃった。息子は意気込んで、そこに電話をかけた」
「私はそんなことはまるで知らずに、その日もせっせと電話してた。それで、職場にかかってきた電話を何の気なしに取ったら──」
「息子だったのよ」
「血の気が引いたわ。すぐに切ったけど、息子が気づかない訳なかった。数分もしない内に、プライベート用の携帯が鳴った。もちろん、息子からの着信。本当に、頭が真っ白になった。出ないとと思っても、やっぱり出れなくて」
「その時私は確かに見たの。山本亜子が、こっちを見て、ニヤって笑ったのを」
俺は手が汗でぬめるのを感じ、テーブルの下で拳を握った。
「そういうことか、って納得がいって、はらわたが煮えくり返った。あの女とは、何だか元からウマが合わなかったのよね。あの女はずっと私を追い出したがってた」
「仕組まれてたのよ。私が息子の嫁の祖母に電話をかけたことは。証拠こそないけど、確信したわ」
「私はすぐさま家に怒鳴り込んできた息子に、ただただ謝ることしかできなかった。最初はなんとか言い逃れようとしたけど、息子は頑として引かなかった。愚かにも私は、電話に出た時に自分の名前を口走ってたしね。仕方なく、全てを話したわ。昔からずっと、騙し続けてたことを」
「息子はそんな訳ないと、怒鳴り散らして最初は認めなかった。私が話し終わった時には、泣きながらなんでそんなことをしたのかと責め立てた。当然ね。それでも、私は息子への愛は嘘じゃないと必死に伝えた。『あなたを育てるためだった』と、そう言ったのよ。酷い母親よね。息子に、嫌われたくなかっただけよ」
「息子は、それはそれは苦しんだわ。実の母親が犯罪者だったこと、それは自分を育てるためだったこと、そのせいで愛する女性の祖母が死んだこと、どれも息子には到底認めることができないことだった。受け入れられないことだった」
「その3日後、息子は出張先で、ガードレールを突っ切って車ごと海に沈んだ。遺書は無かった。だから、今でもあれが事故だったのか、自殺だったのかは分からない」
「でも私は、自殺だったんじゃないかと思うわ。急な崖道を猛スピードで走るなんて、まともだったらしないでしょう」
「たぶん、息子は自分の死によって私に抗議したかったのよ。遺書を残さなかったのは、私の犯罪行為を他人に知られないため。私が自首するまでは、私が捕まらないようにするため」
「息子の死を知らされた時、ようやく気付いたわ。詐欺が成功して『やった』と思ったあの時にはもう、私には倫理観なんて無かったんだって」
玲サンの瞳から、すっと表情が無くなった。とても冷静な声で、玲サンは言う。
「あの時にはとっくに、人じゃなくて修羅に成ってたんだって」
「そう思ったの」
俺は長い間、ただ黙ることしかできなかった。重みのある沈黙が流れる。俺は何を言えばいいのか考えようとしたが、何一つ言葉は出てこなかった。思ったより100倍は壮絶な玲サンの身の上話に、頭が大混乱していた。俺は自分の両手に目を落とした。
玲サンは、自分を修羅に堕ちたと言う。
それなら、俺は?
俺は一体いつから、修羅になっていたんだろうか?
親父のどこまでも冷徹な目と、樫尾のイヤに生暖かい視線が脳裏をよぎる。
双。母の死をもって生まれ落ちた俺。不幸な兄の死と、二人の父親の可能性を背負った呪われた名前。
もしかして、生まれた時には、既に。
「……悪いのは、私。それは分かってる。悪いと分かっててずっとやってた事だもの。息子の嫁の祖母を殺したのも、息子を殺したのも、私なのよ」
「結局、私のやってきたことは無駄だった。せっかく結婚して子供ができたのに夫は死に、子供のためにやってきたはずのことは子供を死に追いやった」
玲サンの言葉に、俺は思考を中断する。
感情の抜け落ちた玲サンの瞳に、次第にまた、強い憎しみが満ちていった。
「……それでも、赦せないのよ、あの女だけは」
山本亜子のことだ。それは、そうだろうなと俺も思った。玲サン自身も悪かったとはいえ、恐らく、玲サンは奴に嵌められたのだ。
「ごめんなさい。暗い話をしたわね」
「……いえ、話してくれて、ありがとうございます」
俺が硬い表情でそう言うと、玲サンは少し微笑んだ。
「ソウくん。『道具屋』のあなたを見込んで、お願いがあるの」
俺はびくっとして、玲サンを見た。こんなに聞くのが怖いお願いは初めてかもしれない。
「……何ですか」
「『山本亜子』のことを、調べてほしいの。住所でも、電話番号でもなんでもいい。でも、もしできるなら、私の自供があれば逮捕できるような、詐欺の決定的な証拠がほしい」
半ば、予想していた言葉だった。
「……やっぱり復讐する気、なんですね」
玲サンは口角を上げて、目を細めた。
「もちろん。最初にも話したけど、私がこの業界に戻ってきたのは、あの女の尻尾を掴んで、復讐するため。息子が死んでから詐欺からは足を洗ってたけど、どうしても、あの女だけは赦せなかった」
「だから、お願い。言う通りにしてくれたら、私も、ソウくんの言うこと聞くわ。こんな枯れたオバサンでよければ、いくらでも付き合ってあげるから」
そんなこと言われると、気持ちがぐらつく。ただ、これは一筋縄ではいかない話だ。他の詐欺グループでリーダー格の女性の、詐欺の証拠を集める。それは一般人の個人情報のクラッキングとは訳が違う。
早い話、あっちのグループにいる『道具屋』との一騎討ちにもつれ込むだろう。技術的にもかなりキツい上、こちらの正体がバレでもしたら、詐欺グループとしての信用に関わる。最悪の場合、宣戦布告と捉えられて組同士の抗争に発展する可能性も捨てきれない。つまり、めちゃくちゃ危ない橋を渡ることになる。
俺は玲サンに、証拠を集めることの危険性について説明した。それでも、玲サンは折れなかった。
「それでも、お願い。お金とか、必要ならいくらでも言って。最悪の場合は私が責任を負うから。一筆書いてもいい。結果として、私が消されても文句は言わないわ」
必死に食い下がる玲サンに、俺はもう一つ別の懸念を抱いた。
もしかして、玲サンは刺し違えてでも山本亜子を殺すつもりなのではないだろうか。普段冷静沈着な玲サンのなりふり構わない様子に、俺はそんなただならぬ雰囲気を感じた。
でも、俺は……今日の話を聞いたって、どうしようもなく、玲サンが好きだ。それはきっと確かだ。やっぱり、俺は玲サンの力になりたい、下心ナシで。付き合いたいからなんて、そういう軽い気持ちじゃない。断じて。
俺は、この選択を後悔するかもしれない。でも、俺も玲サンとおんなじ修羅だから。最期には、同じ所に行きたいんだ。
俺はしばらく迷った末に覚悟を決め、それを口に出した。
「一つ、約束して下さい」
「もしも万が一、玲サンが俺の元から永遠に去るときが来たら、玲サンの骨をひとつ、俺に下さい」
玲サンは今日で一番の、驚愕の色を浮かべた。
俺は目一杯大人ぶって、大仰に手を広げた。
「こんな言葉を、聞いたことありますか。『もしもあなたが私の元から永遠に去るときには、出入りの商人に言い付けて、あなたの
「……ないわ」
「どっか外国の、劇作家の言葉らしいんですけど…、俺、この言葉気に入ってるんです」
「……だから、俺も玲サンの骨が欲しい」
玲サンはしばらく鳩が豆鉄砲食らった顔をした後、神妙にうつむき、それからまっすぐ俺の目を見た。
「本当に、好きなのね。私のこと」
「……」
俺はついに限界が来て大人ぶっていられなくなり、思い切り赤面した。玲サンもつられて若干恥ずかしそうに髪を弄った。あ、その顔、かわいい。
「いいわ。ばか正直に『愛してる』って言われるよりは伝わったわよ」
「あ、ありがとう、ございます」
「そしたら、もしソウくんの前から永遠にいなくなる時には、ソウくんに私の骨をあげるわ。これで、契約成立ね」
「簡単にいなくならないでくださいよ」
俺はべそをかいて言った。玲サンは少し優しそうな笑みで、俺を慰めた。
「……大丈夫よ。そんなに、私はやわじゃないから。意外と、泣き虫なのね」
「山本亜子について、情報が入ったら私に伝えて。情報と引き換えなら、デートとかも色々してあげる」
そう言うと、玲サンはキティを飲み干し、手荷物をまとめると席を立った。
「ごちそうさま。お会計、よろしくね」
「あっ、ちょっ……」
玲サンはさっきまでの可愛さが嘘のように、淡々と立ち去ってしまった。俺は少し肌寒くなってきたテラス席に一人残された。
俺は一人でウイスキーを飲みながら、こっそりと呟いた。
「『もしもあなたが私の元から永遠に去るときには、出入りの商人に言い付けて、あなたの婀娜骨を私に遺してください』
『そうすれば、私の命が尽きたとき、その魂はあなたの骨に導かれ、あなたと同じ所へと行き着くでしょう』」
外国の劇作家の言葉なんてのは真っ赤なウソ。実はこれは、母親の遺稿の一節だ。
俺はどうやら、結局は母親の息子であるらしい。こんなアホらしい言葉に縋って、死んだ後でさえ、一緒になろうだなんて。こんな言葉で男をたぶらかしては蟻地獄に引きずり込んだ、そんな女の息子だ。
今が最高の気分なのか最悪の気分なのか図りかねて、俺はきらきらと輝く星空を見上げた。
ただ何にも考えずにあの星の1つになれて、隣の星が玲サンだったらいいのにな。そう俺は思った。
それは素敵だが、決して叶わない夢だ。
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