第10話 異変

「見ろよあいつだろ」

「ああ、キレまくって女泣かした奴だろ」

またこれだ。廊下に出た途端、俺の心情はぐちゃぐちゃになる。こそこそ、何も事情を知らないのに、あいつらはごちゃごちゃごちゃごちゃ言ってきやがる。

そして俺は無視される。だから俺も無視をする。そして俺は悪態に対して何も感じなくなった。なれたのだ。慣れと言うのは時に怖いものだ。だが時に武器にもなる。それを俺は小学4年生にして知った。


「お兄ちゃん、起きてよ」

少し昔の夢を見ていたのか。悪い夢だ。だがあの経験は俺という一人間を強くさせた。今では本当に少しだけだが感謝している。


俺は朝の支度をしながら少し昔のことを思い出していた。


小学4年生の冬。

俺はキレた。恋愛系だ。主犯は同じクラスの女子2人。幼さもあったからだろう、俺はとにかくキレた。そして泣かした。暴力はふるっていない。


その翌日。

昨日のことは学年中に広まった。俺が朝教室に入った瞬間に俺は異変を感じた。

俺が教室に入った瞬間空気が変わったように感じたのだ。そのときまで教室にいなかったのにも関わらず。いつもなら喋りかけてくる男子友達も話しかけてこない。

自分の机の周りには誰もいなかった。みんなほかのところに行って友達と話している。俺は廊下に体操服が入った袋をフックに掛けに行った。

「お、学校来てんだ、あいつ」

「よく来れるよな」

話したことも無い知らないやつらだ。


あの時からだ、俺の世界観が広くなったのは。だから俺はアニメや映画、漫画や小説などなどにも触れるようになった。


今あいつらはどうしているのかと時々考えることがある。

次のクラスもその女子2人と同じクラスにさせたあの時の担任は今でも教師を続けていられているのか。


そして俺はいつもの様に登校する。


ん、何か下駄箱にはいってるぞ。まさか。

下駄箱の中にはA4の紙1枚分くらいの折りたたまれた手紙が入っていた。

差出人は未来の俺だった。次はどういう趣旨のものなのかは気になったが鈴木と一緒に登校したため鈴木もまだ下駄箱にいたためそこではとっさに鞄にしまった。


昼休み

「ちょっとトイレ行ってくるわ」

そう言って俺は男子トイレの個室に入った。

早速手紙の内容を確認する。

『やあ、久ぶりだね。どうも未来の君だ。わかっていると思うがこれは2つ目の手紙だ。早速本題に入ろう。率直に述べてしまうと異常事態が発生した。私の関与していないところで過去が改変されている。神様に聞いたが知らんぷりをしている。私はそちらの過去の世界には飛ぶことはできないために調査することができない。だからそちらでの調査を頼みたい。神様が少しだけヒントをくれた。1年生のある生徒が関係しているとのことだ。だいぶ大雑把だがその生徒を特定し、調査してくれ。検討を祈る。あ、書き忘れていたが君はまだまだ人間としては浅い。もっと周りの人間に目を向けて生きるといい。では。』

要するに1年生のとある生徒が事変を改変している。だからそれを調べろということか。難しいな。まずまず1年生全員にその疑いがあると考えると人数が多すぎる。

どうしようか。今のところ協力者はいないため俺一人で探さなければならない。

まずはその改変者の絞り込み及び特定、そしてその改変内容が善か悪か。そう考えると俺の改変は善と悪のどちらなのか自分でもわからない。未来の俺が神様に認められたからいいと考えていいのか。まず過去を改変するなんてそんな簡単に考えていいのか、はあ、本当に面倒だな。考えるのも面倒くさい。今は一旦自分の利益を考えて未来の俺に従おう。


帰宅後。

俺はすぐにベッドに飛び込んだ。そして考える。謎の改変者xのことを。

いったい誰なのか。考えても仕方がないが。まったく今のところは見つけようがない。どういった目的で改変しているのか。というか、どういった方法で改変しているんだ。まったくの手つかずだな。考えても仕方ないと思った俺は起き上がり、身なりを整え、いつもの様に筋トレを始めた。


「お兄ちゃん、空いたから早くお風呂はいちゃって」

「おう」

ん?リビングのろうかへと繋がるドアのすぐ右横の棚の位置が変わっている気がする。ってうお。

「ドタン!!」

風呂に向かおうとしたとき、俺はカーペットにつまずいてコケてしまった。

そうそうないことだ。怪我無く済むことができたためひとまず良かった。

って危ねえ。四つん這いの状態から顔を右に挙げるとすぐ横にはおそらく配置が変わったであろう棚があった。

以前の配置なら確実に棚に頭をぶつけてけがをしていただろう。

「おにいちゃん、大丈夫」

「ああ、棚の位置が変わってたおかげで頭をぶつけずにすんだよ。今日変えたのか?」

「え?お兄ちゃん、気づいてなかったの~。1か月前には変えてたよ」

「え?そうだったのか」

「本当にお兄ちゃんは。彼女できても少しの変化に気づけないと痛い思いするからね」

「ああ、もっと目を配るよ」

そうして俺は風呂に入った後読書をして就寝した。


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