第3話 痛い

「アヤー、起きなさいよー。早くご飯食べにきてー。」

 朝からお母さんの声が響いている。

私は現実に引き戻される。

耳に、頭に、心にその言葉が刺さる。


嫌だなぁ、、、 行きたくない。


ああ、、、


行きたくない。


行きたくない行きたくない行きたくない行きたくない行きたくないよ!!!!


”このままお母さんを無視し続ければ、行かなくて済むかな。“


ふと過ったそんな思考に私は囚われて、

響く声を無視した。


だけどそんなに甘くはなかった。

お母さんは怒ったような、困ったような声で「アヤー?」と言いながら階段を上がって私を起こしにきた。

イヤだ。イヤイヤイヤイヤイヤ。全部がイヤ。

私は布団に潜って、壁の方を向いた。

お母さんは私を起こそうとしたけど、私は布団に潜って無視し続けた。

いい加減に起きろ、と頭に来ているのだろう。

お母さんは断固として起きない娘を殴り始めた。

最初は平手でバンバン叩いていたけど、

途中からグーになって、

叩いたりひっぱったり。


でも学校に行きたくなかった。


なんだか悲しくなってきた。

行きたくない。叩かれたくない怒鳴られたくない。


私は言った。

「まだ頭が痛い。」なんて。

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眠り姫の桃源郷 鏡花水月 @kyouka_suigrtu

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