第7話 私とオレン
「オ、オレン。私と対になるなんて迷惑かけてごめんね」
オレンは王族でもあり、魔術の力も桁違いに強い。そんなオレンの対になるのが私なんて恐れ多い。
「お、俺は別に気にしない」
「やっぱりオレン、他の学園に行って別の人を見つけたほうが……。早々に別の人を」
「俺は他の学園には行かない。それにリリアンナとのことも、嫌いじゃない。リリアンナがどうしても嫌なら対を解除してくれていいから」
オレンは不安げに瞳を揺らしながら、じっとこちらを見てくる。ずるい。幼いころからの情もあって無碍にはできない。
それに私も魔力交換の相手は知っている人がいい。
「私はオレンのことは友達として好きだけど、その……好意をもっているかと言われると……」
「リリアンナは深く考えすぎだ。別に魔力枯渇をしなければいいんだ。幸い俺は魔力が膨大だし、枯渇をすることはないと思う」
「そうだよね! 私はわからないけど、授業でみっちり勉強して魔力枯渇を起こして、オレンに迷惑をかけないようにするね!」
「俺としては……枯渇しても……いや、でもリリアンナの気持ちが……」
オレンがもごもごと何か言っていると、立っていたクラリオンが呆れた声を出していた。
「オレンはさ、勇気がないよね」
「関係ないだろ。お前が素直すぎるんだ」
「リリアンナ嬢とられても仕方ないよ」
「そんなことはさせない!」
オレンが急に態度を変えて、まさかの行動に出た。
私の手を握りってきたのだ。
「俺はリリアンナが……」
男女で手を取り合うと魔力交換になる。だから大事にって。
あれ。そうだよね。
オレンの勢いが凄くて手を振り払えず、教室にいる全員がこちらを見てびっくりしていた。
むずむずとする痺れたような感覚。
オレンもその刺激にびっくりしたのか、急いで握っていた手を離した。
「ご、ごめん! リリアンナ! 同意もなく勝ってに触ってしまって、なんと詫びれば、ああ」
落ち込むオレンをよそに、ヨレン先生は嬉しそうにしている。
「まさか入学初日に男女が触れ合うのは前例がありません。せっかくなので、魔力があわない同士の反応も見てみましょう。短時間なら枯渇を起こさないため安心してください」
ヨレン先生は手を差し出して、私の手をオレンよりも優しく握ってきた。
さっきとは違い、不快な感覚と輪ゴムで弾かれたような痛み。
ヨレン先生は1分も経たずに手を離した。
「どうです? オレンと感覚は違いましたか?」
「はい……、オレンのは温かくて、ヨレン先生のは眩暈を起こすような不快な感覚でした」
「みなさん、これでわかりましたか? 魔力の違う同士が触れる危険性を」
こうして実践で魔力爆発の起こる仕組みを経験したのだった。
「あーあ。オレンたら手が早いんだから」
「ちがっ、自然と触れていて。リリアンナ、本当に申し訳ない」
「魔力の波動についても勉強できたから気にしないで!」
なんだか、むずむずとした感覚が残っていて、オレンと繋いだ手を抱きしめた。
魔力の使い方には注意しましょう 宇野田莉子 @milktea0912
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