第5話
「隣、座ってもいい?」
そう言って隣に腰かけてきた。
「夕方くらいに喫煙所来ようとしてなかった?」
「え」
あの時一瞬目が合っただけなのに気付かれていたのか。
「あ、行こうと思ってて目の前まで来たんですけど、急用を思い出して引き返したんです。」
突拍子もない嘘をついた。
あなたを見ていたら目が合ってしまったから逃げました、なんて到底言えない。
「なんだ、俺がいたから入りづらかったのかと思ったよ。良かった。」
「全然そんなんじゃないです!すみません。」
「大丈夫だよ。ちなみに名前はなんていうの?部署はどこ?」
「中島春美って言います。部署は経理課です。私もお名前聞いてもいいですか?」
「俺は東健って言います。部署は予算課だよ。中途採用だから、同期の中でも少し歳上だけど仲良くしてね。」
彼のことを知ることが出来て、少し嬉しかった。
運命の定義 @harumonsta
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