蝶ネクタイ 🎺

上月くるを

蝶ネクタイ 🎺



西の稜線に茜さしたる冬朝日

雪道にアイスバーンの黒光り


橋向ふ鋭き雪嶺の屹立す

丸石を億万と置く冬の川


薄き日が育む冬の木の芽かな

集団に意志あるごとく寒雀


裸木の影のベンチに届かざる

冬青空市井の人でよしとせり


冬晴の城下見渡す物見台

正円を描く絵筆や浜千鳥


誕生の前から知る子室の花

絵手紙の返事来りて暖房音


クリスマスケーキてふ花運びゆく

ビル風のあひだのカフェの聖夜劇


聖樹のブルー楽士の白き蝶ネクタイ

パイプ椅子ならべ聖夜のコンサート


薬喰われの場合は土野菜

芯の蜜透けて飴色冬林檎


ひとつ星連れて三日月中空に

玄関のあかりほのかに山眠る




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

蝶ネクタイ 🎺 上月くるを @kurutan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ