第19評 お山の天狗の縁結び~ナサト~

作品名:お山の天狗の縁結び

https://kakuyomu.jp/works/16817330664561864063

作者:ナサト

https://kakuyomu.jp/users/sato_nasato




※注意

私は今まで、感想を書く機会がたくさんありました。オプチャや自主企画に参加した時はそれはそれは10~20作品以上感想を書いていたと思います。ただ、そこでの感想は人に嫌われないようにすることを気にするがあまり、本当の事を言えないというジレンマに囚われてしまったような気がします。良いところを探して言い、言い方は悪いですが、良くない部分は敢えて伏せる。そんなやり方に限界を感じてきたので、今回の企画を立ち上げました。何が言いたいのかといいますと、今回のレビューはかなり辛口です。しかし、作者さんを懲らしめようとか嫌がらせをしてやろうという気持ちは一切ありません。ただただ、純粋に読んで、私自身が感じたこと、もっとこうした方が良くなると思うことを列挙しています。ただ、何度もお伝えしている通り、私はプロでも何でもないですし、私の意見が全てだとは微塵も思っていません。なので、あまり真に受けずに、こういう人もいるんだなぁと思っていただけると幸いです。




●1話

文章作法や文章表現が的確で、まるで本物の小説を読んでいるかのような気分になりました。登場人物が非常に生き生きとしており、行動一つ一つに目が離せなくなりました。私としても、このような文章表現を目指していきたいと考えていますので、是非ナサト様の作品をご参考にさせていただければと思います。麓者を連れてきて仮初の縁を結ぼうとする展開が面白いと感じました。それを考えた伊吹もかなり頭が切れる人だと感じました。気になった部分は、強いて言うなら前提知識の導入をした方が良いというところでしょうか。話自体は非常に面白く、文章も違和感はなかったですが、登場人物の概略、相関関係、現在の立場、境遇、地名の説明、時代設定、天狗の役割、縁結び、麓者などそういった部分の説明が少なかったので、情報を読み取るのに時間がかかってしまいました。なので、そういった情報を冒頭部分にお書きになっていただけると、よりスムーズに物語の中に入り込むことができると思いました。




●2話

梓が麓者を連れてきたのはいいものの、それが年頃の少女だったという展開が面白かったです。綿帽子を白髪に、打掛けを着てたのを枯死が曲がっていると勘違いしていて、そんな偶然ある?と驚きました。少女に指摘されたように今まで麓者について関心を持たず、良く知らなかったことが仇となるとは思いもしませんでした。それも嫁入り前という梓と似た境遇というのが印象的でした。天狗の縁組みの意義を知ってなるほどと思うのと同時に、これは現代の性の多様性問題にも通じるところがあるような、そんな気がしました。また、この話の構造が素晴らしいと感じました。男に山を奪われるのが嫌な梓が、麓者を適当な道具として平気で奪おうとしているという状況にはっと気づく、少女に気付かせられる展開が綺麗だと感じました。その後も、縁組みを実際にやってみたり、卯木の翁に少女が賢く弁明するシーンも面白かったです。全体的に見どころの多い回だという印象でした。




●3話

四季折々の変化が流麗に書かれていて、神秘さを感じました。前話で疑問に感じていたのが、少女改め、はつが何故突然連れ去られたにも関わらず、梓と縁組みをすることを決めたのか、何故麓にすぐ帰りたいと思わなかったのか、その理由が語られた回でした。梓ははつと一年間一緒に暮らしたことによって、心が動かされました。その描写が実は一番好きかもしれません。最後は続きが気になるところで終わってしまいました。完結済みという事なので、この先が語られる事はないと思いますが、それすらも美しいと思えるほど、心奪われる物語でした。




●総評

この話は3話という短編で構成されていますが、非常に読み応えのある物語であったと感じました。描写の一つ一つがきめ細かく、綺麗で、文章量が多いにも関わらず、すらすらと読み進めてしまうほど、物語に引き込まれました。今まで、カクヨムで読んだ作品の中でも非常に面白いと感じました。だからこそ、1話のイントロダクションさえスムーズに行けば、あとは完璧だと思います。感想は以上です、企画参加ありがとうございました。




◆◇以後作者さんインタビューです。◇◆




1.簡単にあなたの事を教えてください。


――二次創作歴の長い小説書きです。最近久々にオリジナルを再開しました。




2.カクヨムを利用し始めたきっかけは?


――カクヨムで開催されていた中編コンテストに応募したかったので。




3.小説を書くことにおいて、どういった部分に魅力を感じるか?


――とにかく言葉が(言語を問わず)好きなので、言葉を練って頭の中のものを表現する作業自体が楽しいです。締切に追われているときはつらいですが。




4.あなたがこれまで読んできた小説の中で、最も影響を受けた作品を教えてください。


――小野不由美『十二国記』とJ.R.R.トールキン(瀬田貞二訳)『指輪物語』です。文体や「ファンタジー」というジャンルへの向き合い方の面で大いに影響を受けました。




5.小説を書く上で最も大切だと感じることは?


――文章作法の基本を押さえること。調べ物をしっかりすること。




6.あなたの作品に登場するキャラのこだわりを教えてください。


――そこまで「キャラ」にこだわる方ではないですが(「うちの子」的な感覚があまりない)、物語の中に自然に馴染んでくれる人物を目指しています。




7.あなたの作品の中で、読者に一番読んで欲しいシーンはどこですか?


――情景・心理描写。




8.将来的にカクコンなどで賞を取ることを目指していますか?また、あなたは小説家を志望してますか?


――小説家を目指しているわけではないですが、評価を受ける体験をしてみたいのでコンテスト応募は視野に入れています。




9.もし、あなたの小説がアニメ化、映画化されるとしたら、主題歌は誰に歌って貰いたいですか?差し支えなければ、主人公やその他キャラの声優さんを誰にしたいかもお聞きしたいです。


――レビューをお願いした「お山の天狗の縁結び」なら……うーん、陰陽座の黒猫さん……?

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