十日間経つとそれまで経験したことをわすれてしまうとしたら、愛する人との想い出までなくなってしまうとしたら、あなたはどうしますか?
これはそんな難病を患った「彼」を愛する女子高生 美咲の話です。
美咲はその持ち前の明るさをもって、十日ごとに高校生までの記憶を喪ってしまう翔に絶えず連れそい、勉強を教え、学園生活を支え続けてきました。そんなふたりがバラバラになる卒業式がせまったとき、最後の想い出づくりのためにふたりは十日間思いきり遊ぶことにします。
この十日間の描写が、もうほんとうに楽しそうで、幸せそうで。読者であるこちらまで「ああ、わすれたくないな」「わすれてほしくないな」とおもうほど。
喪われ続ける青い春のゆくえは、どうかその眼で確かめてください。