あなたの隣にも“誰かの中身”がいるかもしれない ―日常と異能の境界線―

 気の言 様の『マイグレーション』は、、“現実世界で入れ替わり現象が本当に起きたら――?”という、ありそうでなかった切り口がとても新鮮でした。もし自分や家族、友達の中身が知らないうちに入れ替わっていたら……?と想像するだけで背筋がぞくっとします。

 主人公・八雲の等身大な葛藤や、ただの青春ストーリーでは終わらない社会の闇、国家と個人のぶつかり合いなど、毎回ドキドキさせられました。普通の日常と異能の非日常、そのどちらにも「大切なもの」がちゃんとあることを、この物語はリアルに描いています。

 政府の裏側や特殊な組織、仲間たちの葛藤が絡む展開もスリリングだし、一人ひとりのキャラの悩みや弱さもとても人間的。日常を守るために戦う少年少女の姿が、きっと今を生きる普通の高校生や社会人にも刺さるはず。

 ミステリーやサスペンス、そして人間ドラマが好きな人に特におすすめです。読後には、きっと自分の“当たり前の日常”を大切にしたくなる作品です。

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