第2話
私、佐々木千鶴と池上律希は家が隣同士。
母親同士がとにかく仲良くて、いわゆる幼馴染。
物心がついた頃には毎日一緒に遊んでて
その頃から律希の可愛さは最高だった。
ちづちゃん、ちづちゃんって追いかけてくる弟みたいな存在。
でも、それは成長するごとにあっさり崩れていった。
中学までは良かった。高校に入ると、私たちが幼馴染なんて言えなかった。
律希はファンクラブができるほどの遠い存在になった。
あんなに可愛かったのに、今では身長も175cm、細身で手脚の長いモデル体型。
平凡地味な私が並んだら鋭い睨みが飛んでくる。
ちょっと昔の律希を知ってるからって調子に乗るななんて言葉は当たり前。それでも私は律希のことが大好きだったし、律希も「ちづちゃーん」って来てくれるから、一緒に登下校も変わらずにしていた。
でも、律希がモデルにスカウトされて街角スナップで雑誌に載った時に改めて気づいてしまった。
その時には、私も一緒に歩いていたのに勿論撮影は律希だけ。それどころか「君ファンなの?邪魔だから退いてくれるかな」なんて言われちゃう始末。
今までよく分かっていたけれど、改めて自分と律希のいるステージが全然違うことを感じた。
そして、その雑誌が発売された頃には律希と一緒に歩くなんて出来ないぐらいの沢山のファンが着いていた。勿論律希はそのまま事務所にスカウトされてモデルとして活動を始めることになった。
母親同士が浮かれてやれるならやってみたらいいと言った結果だった。
そうなると少しずつ私と律希に距離が出来ていった。
最初はこの後撮影があるから一緒に帰れないってところだった。でも、そのうちに私が律希の隣に居続けることが怖くなった。どんどん違う世界を進んでいく律希が変わっていってしまうんじゃないかって。
私は幼馴染という関係に甘えていたことに気づいてしまった。幼馴染なんて一生一緒にいられるものではないと。
その頃ちょうど私は受験シーズンに入った。そこで私は地元を離れることを決意した。
今は律希は忙しいから言わないで欲しいと。
そして合格発表が出たその日、私はニュースを見て失恋をした。
律希が美人モデルとデートしてるという報道だった。
それからのことはあまり覚えてない。
私はそのまま引越の準備をしてさっさと新天地に向かった。
何度も連絡は来ていたし、家にも来ていたけれどニュースを見ていた母が察したのか居留守に協力してくれた。
そこから大学で勉強に生きて、必死に大手の企業に入った。
私は一度も実家に帰っていなかった。
ずっと好きでした…でも叶いませんでした @ayano_sakuragi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ずっと好きでした…でも叶いませんでしたの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
近況ノート
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます