第三話 学校間呪術戦対抗試合 その七
由美子たちが戦ったフィールドは
その中で救護車にの前に出された椅子に由美子、朝子、葉の三人が座っていた。三人は軽傷のため、委員会の事情聴取が先程終わったばかりであり、渡されたペットボトルを一様に飲んでいた。
「お疲れ様。色々と面倒ばっかりでごめんね」
「藤ちゃん、疲れた。ご飯
葉は藤に甘えていた。
「いいけど、この時間に食べたら太るわよ?」
「ええ、それはヤダ」
由美子は笑っていた。
「いいわね、その関係。うちの先生はああいう奴だから」
「そうとも言えないわよ。私があとで交渉してあげるわ」
藤は息巻いていた。
「有り難いのですが、私は遠慮させて頂きます。自分の体調管理ぐらいできますから」
藤はあれっ?と肩を落とす。
「優等生は、乗りが悪いわね」
「あら、私と居ると、あなたが嫌そうだから遠慮したのだけれども」
朝子と由美子は睨み合っていた。
「ふたりとも喧嘩しない!」
ふたりともふんと言いつつ、お互いに別の方向へと体を向けた。
「神宮さん、私の生徒を助けてくれてありがとう」
「いえ、成り行き上、迷惑をかけたのはこちらというか……」
「ええ、それで死ぬ思いをしたわ」
由美子はカチンときたのか、朝子に何か言おうとしたが、藤がまぁまぁと止めた。
「でも、遠くから見ても戦いぶりは凄かったな。同じ頃の私には出来ないくらいだよ。OGとしては鼻が高い。それに終わった後も治癒魔術で手伝ってくれて、ありがとう」
「まぁ、どこかのアマゾネスよりは戦えたと自負はしていますけどね」
「誰が、アマゾネスよ!」
朝子は立ち上がった
「あら? 自覚していたの。ごめんなさいね」
由美子は
「ふたりとも! 喧嘩はしない。今回の一件で委員会は、あなた達のことをこの三年間を背負っていく存在として見ることになるのよ。私達はあなた達に期待しているんだから」
「……でも、藤ちゃん。あの先生が言うには、私達には才能、ないんでしょ?」
朝子はいつにもなく弱気だった。
「悔しいけど、そいつには私なんかより才能があるし、家の格が違ういというか。そいつがあのすごい先生からすると才能がないって言われて、藤ちゃんから私達に期待してるって言われても……」
「あはは……。あの人は、誰にでもああいうのよ。私にとっても手の届かない人だから。知ってる? 私は由美子さんみたいじゃないけど、私は自分を秀才だと思っていたわ。だけど、あの人のポキっとへし折られちゃった。それに私達とは…………」
藤は自分の答えが朝子の不安を拭えないことが分かったとき、言葉が止まってしまった。
「私は、別に気にしてません」
由美子は
「だって、最初から分かっていたことですもの。私が見てきた呪術戦や、真剣での戦いはこんなものじゃない。皆、あなたみたいに弱気なんて発しないわ。私はどんなことがあっても諦めたりしない」
「そんなカッコイイこと言って、君、二回は諦めたの覚えてるか?」
伏見がふっと現れたことに一同驚いた。
「い、いつ諦めたっていうのよ」
「鞘夏くんに自分の腕が持っていかれそうになった時と、朝子くんへの大きな火球の時や」
「諦めていないわ!」
「君は彼女たちより先天的にええもんもろてんのに無駄にしすぎや。ああ、お父様とお母様が泣いていらっしゃってかるもしれへん」
およよと嘘泣きをする伏見を朝子は鼻で笑っていた。
「君も、君やで、朝子君。感情の制御ができてへん。あと猪突猛進なのは頂けへんな。その短鞭の使い方はおもろいけど、使う人間が面白ない。もっと嬢王様みたいにならんと」
ワナワナとする二人は同時に伏見に襲いかかった。
「今日という今日こそは、その血筋の一つ、絶やしてみせる!」
「この変態教師! その身で味わせて上げる」
「ふたりとも、よしなさい!」
藤が二人の仲裁に入るも、無理にこじ開け、逃げる伏見を追いかけ始めた。
「藤ちゃん、あんな元気があるんなら大丈夫じゃない?」
「そうね。私はあなたの事も期待しているのよ」
「あたし? ムリムリ。神宮さんや、朝子を見てもそうだし、私に呪術の才能なんてないよ」
「そんな、自分を
「いやさぁ、今日見ても分かるでしょ。それに私は決めてるんだよね。朝子と、この高校三年間を一緒に楽しみたいって」
「そうなの…」
「そうなのです、藤ちゃん」
「でも、あの嫌味で偏屈教師を一緒に倒してらっしゃい! 倒してきたら、また別で何か
藤は葉の背中を押した。
「やったー! ふたりとも、その先生を倒したら藤ちゃんが何でも
葉は由美子と朝子を巻き込むように伏見の元へ走っていた。
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