"しかしそれでは、念仏とはごく一部の富裕な公卿にのみ可能なものになってしまうではないか"
"しかしそれは、仏道で言う悪念ではないのか"
八郎様もかしこい……
"欲だとしても〜地獄へ参りましょう"
その着地点が見いだせる!規則や思想、慣習に何のためのものかを自分の基準で持って判断できる人の証……!
このやりとりばりすこ
作者からの返信
ありがとうございます。
本作では通説のような豪放一点張りの為朝ではなくて、理知的なところも備えた人間像を描きたかったもので。
ていうか、最初はそこまで考えてなかったんですが、書いてるうちにそうなっちゃいました。
まあ、両親がアレですから、子供はグレるか、逆に考え深い性格になるんじゃないかと。
幸い八郎には重季がいましたんで、まだお子様ながらも、こういう風に育ちました。
善弘さんは後の法然上人、仏教を真に民衆のものにしたと言われる鎌倉仏教の開祖です。
「衆生を救うためなら自分は地獄に落ちても本望だ」ぐらいのことは言うでしょうね。
実際、旧仏教側からの迫害、攻撃は強烈だったみたいで、それにも負けず布教を続け、最後は老年にして流刑になったぐらいです。
一般に思われてるような単なる冷静温厚な聖人ではなくて、内に熱い者を秘めた方ではなかったかと。
晩年になって残された「一枚起請文」にもその熱さが表れてます。
編集済
「地獄に落ち、あるいは餓鬼に生まれ変わるとしても、それで貴賤を問わず多くの人々が救われるとしたら、私にとっては本望でございます。」
ここまで言いきれるとは。
他の方へのコメント返信を拝見して。
なるほど、法然上人。新しい教えの開祖となる人なら、若い時から、これくらいのオーラ、ありそうです!
作者からの返信
善弘すなわち法然は本作の中でも私が最も好きなキャラの一人で、これからもいろいろと八郎を助けて活躍してくれます。
法然上人は弟子の親鸞さんとかと比べて理知的な人と思われることが多いようですが(だから物語の登場人物になりにくい 😓)、でも温厚で冷静な中に実は最も熱いものを秘めた人ではないかと。
そうでなければ他の聖者に先駆けて旧仏教と対立し、民衆や女性に大きく門戸を開いた鎌倉仏教の先駆者にはなれませんものね。
この人がいたからこそ、後の親鸞や道元、日蓮なども存在し得たと言っていいと思います。
本作での台詞はあくまで私の創作ですが、法然上人ならこのくらいのことは言いそうですよね 。
我が家が浄土宗のため、法然さんがカッコ良く描かれたこの回とても好きです。
親鸞に比べて印象が薄い感じがしてたんですが、熱い男だったんですね…。
作者からの返信
お会いしたことはありませんが、きっと熱い方! (^^;)
だって、初めて仏教を庶民のものにしたと言われる鎌倉仏教の開祖ですから。
この人がおられなかったら、親鸞はもちろん、栄西や道元、日蓮だって活動し得たかどうか。
私自身は別に浄土宗の信者っていう訳じゃありませんが、とにかく凄いお方だと思います。
史実では為朝との接点はないけれど、ほぼ同世代なので、強引に登場して頂きました。
仏教絡みだけではなくて、八郎が比叡山を去ってからもいろいろと助力や活躍して頂いてます (^_^)
この回好きだなぁ。
善弘さん(法然さん)の強い志は勿論素敵ですが、
八郎がこのアツさを受けても怯まずに、悪念・欲では?とまっすぐに意見するのも好き。そしてそれをまた肝の据わった言葉で返されるという流れが良きです……。
実りのある会話って感じがします。
作者からの返信
ありがとうございます。
実は、そのエピソードはあまりにも直接に仏教絡みで、WEB小説としてはあまりに線香臭い・説教臭いかなあと心配していた箇所だったんです。
でも、法然さん(この時点ではまだ名前は善弘ですが)に登場してもらう以上、その辺は書かない訳にはいかないし……
でも、意外なことに多くの方に気に入って頂けているようで、ちょっと安堵してます。
法然さんには今後も八郎の兄弟子としていろいろ活躍して頂く予定です。
ちなみに私は別に浄土宗の信者という訳ではありません (^^;)
全ての人平等に救うという願いは、難しい問題ですね
奪いあえば足りない、分けあえば足りるという言葉があるように、全ての人が優しい心で欲張るのを少しやめれば、世界はもっと丸くなるのかもしれないな
...と、お話と現実を重ねて、のめり込んでしまいました!
作者からの返信
私は別に特定の宗教の信者ではないんですが、法然上人について書かれたある本を読んで以来、少しハマった時期がありまして、それで本作に重要な役柄でご登場願いました。
実際の歴史上では為朝と法然さんには接点が無いんですが、そこはフィクションということで (^^;)
でも法然さんが修行していた場所とか、年齢とかは事実に基づいてます。
それまでわりと特権階級のためのものだった仏教を、初めて庶民や女性にも開放した鎌倉仏教の開祖ですから、この位のことは言って頂いてもおかしくないかと。
信仰ですから奪い合うってことはないし。
あ、でも、宗教戦争ってのもあるし、難しいですよね。
まあしかし、法然さんの浄土宗は、他の宗派や宗教と比較すれば、かなり平和主義的なんじゃないでしょうか。
釈迦如来は苦難に挑む精神と皆を導くカリスマを持ち合わせた人だったでしょう。ヒンドゥー教における竜神ナーガなど人外ですら帰依した御方だ
作者からの返信
宗教の開祖や、ある宗派を開いた人には、そういうカリスマ性を持った人が多かったでしょうね。
善弘つまり後の法然上人もそういう人だったと思われます。
穏やかな聖人の典型として描かれることの多い法然上人ですが、なにしろ困難に耐えて鎌倉仏教の開祖になった方ですから、実はとてもアツい人だったんではないかと。
有名な一枚起請文を読んでみても、本当に熱気が伝わってきます。